「信用」という言葉はいろんな場面で使われている言葉だけども、商売においては最大のポイントだと思う。
どんなに製品が優れていても、それを売っている人やサイトが怪しくて信用できなければ、人は買わない。
サイトや営業マンは入り口なのである。
この入り口が「入りやすい入り口」でないとお客さんは入ってこない。
この入りやすさを決めるのが信用だ。
入ったら騙されるんじゃないか、怖い目に遭うんじゃないかという入り口には当然、お客さんは入らない。
みんなが入っていて安全そうだから、とかこの人は信用できると思われる案内人がいて、初めて一歩を踏み出す。
そして一回入ってみて問題なければ、次からは警戒せずに入ってきてくれる。
ここでいう「問題」とは、明らかに詐欺とか、痛い目にあうというのは論外として、軽微な精神的なコストやダメージも見逃してはならない。
目にして、耳にして嫌な言葉やモノをがこれにあたる。
飲食店で、大声で従業員を怒鳴っている店長がいる店などがそれだ。
こういう点をケアしていきながら、肝心の商品で満足してもらうことが信用を高める。
商品が売れなくても、その前段階で信用は蓄積される。
周りの口コミや、複数回の接触でさらに信用が高まれば、いずれ商品は売れる。
成績が悪い営業マンに多いのだが、直接的に商品を売ろうと売り込みをかけてしまう。
すると、精神的なコストを相手に強いてしまうので、信用が失われて結果的に売れないのだ。
まずは、相手に負担を強いない、強いにくい手段で価値を提供し信用を積み重ねるのが堅実な方法と言える。
無償サンプルだったり、相手の困りごとに対する提案をしたり、有益な情報を教えたり、といったことである。
ただしこれも相手の時間や、精神的コストを強いてしまうので、完全なる無料ではない。
お金という尺度に表れないだけでコストを支払ってもらっているのだ。
それに対する対価が、サンプルや情報なのだ。
そのサンプルや情報がコストを上回ったら、信用が高まる。
それを繰り返すと、お金が絡む段階まで進めるということだ。
そのため営業マンに求められるのは、その最初の方のコストがお金でない段階で「提供するもの」の練度を高めることだと思う。
まずは知識。この知識からサービスも情報も生まれてくる。
知識経験豊富な営業マンの話には厚みがあり、経験に裏付けされているから実際に精度も高い。
これは、ある程度の年数と、真面目に知識習得しようという姿勢があれば自然と身につく、いわば時間が解決する類の力でもある。
あとは精神的な面で、上記のような「信用を積み重ねないとモノは売れない」という考え方を持ち、安易にクロージング(売り込み)をかけないことだ。
諸々の準備が整っていない段階でクロージングをかけると一気に信用を失う。
世の中でいうクロージングの技術は、あれは情報弱者を騙すテクニックにすぎない。
ああいうテクニックを勧める人は、客を動物かなんかだと思っているのだろう。
小さな商売はそれでもできるかもしれないが、大きな商売はできないスタイルだ。
信用が高まりきれば、「この人がオススメするモノなら買ってもいいかな」という顧客も現れる。
もちろんその期待を裏切らない事が大切であるが、目指すのはこのレベルだ。
焼き畑農業のごとく、毎回新規顧客を探し出して、イチから信用を積み重ねていくスタイルは、若くないとできない。
つまりいつかは疲れちゃうスタイルなんだな。
僕はこのスタイルを3年やって、成果は出たけど疲れちゃって退職した。
毎月毎月、数字がゼロに戻る、リピートオーダーがこない商売は、営業マンの負担が大きい。
そういうのを苦にしないガチ勢もいるかもしれないがそれは少数派。
焼き畑や狩猟ではない、農業型の営業ができる商材・業界で知識と経験を積み、顧客からの信用を積み重ねてリピートオーダーを安定的にもらうのが営業マンとしての完成系だと僕は思う。
終
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