化学メーカー営業日誌(2020.10)

日記

化学メーカー営業日誌シリーズ。

原油の下落

まず年初から原油価格が下落して、それに伴って化学品全体の原料費がダウンした。

新型コロナの影響で経済活動が止まった結果、中国などの工場稼働も落ちたため、原油市況は暴落した。

これまでも、何度か原油価格の上がり下がりはあった。

例えば、国際情勢の緊張感が高まって、戦略的に原油価格を吊り上げたり、投機的な動きで乱高下することはあった。

また、どこかのメーカーが事故を起こして供給がタイトになって需給バランスが崩れたりもした。

こういうトラブル系は、数ヶ月で元に戻ることがほとんどだった。

だが今回は、世界的な景気後退、かつ生産活動自体ができないという状況だったため、これまでに類をみない落ち込みとなった。

リーマンショック時は、株価は下がったが、生産活動は止まっていなかったとのことなので、やはり今回は初のケースと言える。

いざ鎌倉

僕はサウザーさんの白熱教室(意識低い系転職のススメ)において

「化学メーカー営業マンは、普段は遊んで気楽に過ごしているが、

一旦コトが起こるや『いざ鎌倉』で腕まくりして頑張るのです」

というお話をした。

まさに今回はいざ鎌倉だった。

「原油下がってるじゃん!安くして!」

というお客様からの問合せがたくさんきたからだ…

そりゃあこれだけ下がっていたら、また、景気の悪い会社が多いから、少しでも仕入れを抑えようと必死である。

その最前線の交渉に立つのが、我々営業マン。まさに「いざ鎌倉」なのだ。

ヘイトを買うなよ…

こうして2020年の夏は値下げの要請と、それにいかに抗うか、という戦いとなった。

正直、僕としては下がったならその分素直に下げれば良いじゃんと思っていたのだが、弊社のオッチャン達は無駄にエコノミーアニマルで、

「こういう時にいかに値下げを抑えたかが大事だ!

その分ウチが儲かるんだから!」

という思考回路であった。

目先しか見えてないなぁと思って、僕はガッカリした。

そんなことをしたら、お客様はもっとガッカリする。

明らかに原料が安くなっているのに、あいつらは儲かっていると、ヘイトを買ってしまう。

お客様だって馬鹿じゃないのに、なぜ弊社のオッチャン達はそういう視点がないのだろうか。

そういうヘイトは、回り回って、自分たちの首を締めてしまうのに。

確かに短期的に、利益は減るだろう。

しかしその代わりに、お客様から

「あの会社は真摯な対応をしてくれた」

という信頼と、

「苦しい時に、協力してくれた」

という恩義ポイントを稼げるのに、そのことをわかっているのかいないのか…

オッチャン達は短期的な利益確保にこだわっていた。

不義理は、そしてヘイトは、絶対に忘れてくれないぞ?

峠を越える

ただ、救いだったのは、他社も似たような感じでエコノミックアニマルっぷりを発揮してくれて、どこも値下げ額はショボショボだった。

そのため弊社のケチっぷりも、あまり目立たないってか、普通レベルにおさまった。

ある意味、足並みを揃えた形となったが、そのため、恩義ポイントも稼げなかった。

ヘイトは回避できたが、恩義ポイントは惜しかったなぁと思う。

そんなこんなで峠を越えて、値下げは決着した。

そのような交渉を社内外で行っていたので、正直、ガラにもなく雇われ人仕事が忙しくなってしまって、このヤコバシ活動があまりできていなかったのが歯痒かった。

「お出かけ」できない!

新型コロナのため、多くの会社は面会を控えて欲しいと通達してきているし、僕の勤務先も「不要不急の面談は避けよ」と指示してきている。

そのため、以前はやり放題だったエア・アポイントメントを利用したカフェごもり執筆活動が全然できなくなってしまった。

また、在宅勤務もなんやかんやで徐々に緩和されてしまって、なんだかんだで毎日出勤している。

まだ身近で感染している人が少ないせいで、このようなユルユル対応となっていて、歯痒い。

そのため執筆ペースも鈍ってきている。

会社デスクでの執筆も考えたが、僕の席は場所が悪くて、ヒマなオッチャンたちがウロウロしていて彼らの視界に入りやすいし、一心不乱にバチバチキーボードを叩くのは不自然(仕事ヒマだから)なので、あまり堂々とできない。

という、不便な生活を送っている。

やっぱり雇われ人って、くだらないっす…

化学業界の現況

参考のため、化学業界の現況を。

春〜初夏くらいまでは国内外・各地で生産がストップし、ともなって化学品の出も悪かった。

これは過去最悪レベルだった。

しかしお盆明けから、お客様たち(メーカー)が、その時の遅れを取り戻すということで烈火の如き生産再開をしている。

そして弊社はむしろキャパシティオーバー気味だ。

しかしやはり、イベント産業に連なる商材はまだまだ壊滅的だし、自動車関連は戻ってきたとはいえ、まだすべてが戻ったわけでもなく、一部だけだ。

そのため、このイベントとクルマ以外の業界はやや勢いを取り戻している、と僕は体感している。

化学メーカーは、様々な分野に分散できるので、そういう意味でもリスクヘッジになっているなと、あらためて化学メーカーの底堅さを感じた。

コメント