化学メーカー営業日誌 2021初夏

日記

久しぶりの更新となってしまった。

あまり使いたくない言い訳なのだけれども、雇われ人仕事が、ちょっと忙しい。

日記を書き残しておく。

適切になっちゃった雇われ仕事

まず、僕はこれまで

「儲かっている化学メーカーの営業職は、ゆるふわです!サボリ放題です!」

と主張してきた。

しかし、コロナ禍によって客先訪問が禁じられてしまった。

外出のない営業マンなど翼をもがれた鳥である。

オフィスという鳥籠に囚われの身になった。

そして僕は内勤部署の改革も任命されて、営業の仕事のかたわら、内勤の仕事の効率化に日々取り組んでおり、ヒマな時間がなくなってしまった。

僕は現職に就いて7年になるが、こんなに「働いた」のは初めてだ。

とはいえ、18時には退社できるので、俗にいうブラックな感じではないし、売上は落ちていないから、雇われ人するにあたっては問題ない状況ではある。

しかしなんというか…「適切」だと思う。

「適切」に8時間の労働力を勤務先に提供している。

今まで…実労働時間が2〜3時間/日で、時給8,000円だ〜!とかハシャいでいた時代は終わってしまった。

今までが異常だっただけなのに、失うと損した気分になる。

過去の記事を読み返すと、コロナ前がとても懐かしい。

パチンコとかゴルフ練習とか行ってたよこの人(参考記事:「営業サボり★3レベル」)。

ワクチンが行き渡ったら、また外出しての客先訪問も多少はできるようになるだろうが、以前のように「とりあえず」の訪問は難しくなるだろう。

そもそも、そのような「とりあえず」がやっぱり不要であったことは、この2年間の外出自粛してても問題なかったという事実により、証明されてしまった。

もちろんそのような定期的な訪問や面談によって機密情報が得られる客先もある。

そういう客先は「とりあえず」訪問が許されるであろうが、そうでない客先には明確な用件なく訪問するのは難しくなるだろう。

原材料の高騰は止まらない

原材料の価格高騰も止まらない。

車に乗っている人ならご存知かと思うが、最近ガソリンが高い。

直近ではいよいよレギュラー150円を超えはじめている。

そんな身近なところからもわかる通り、石油と、派生する化学品の市況が上がっている。

どんな化学品が上がっているかというと…というか…上がってないものがない、と言えるほど上がっている。

背景としては、世界中で旺盛になりつつある需要に対して生産が追いつかず需要過多、というのが大筋であるが、ではなぜ生産が追いつかないのか、というところは複雑な事情が絡んでくる。

もちろん事故によるプラント停止もある。

しかしそれだけでなく、某国が国策として出荷制限や稼働制限をして数量を絞って値段を釣り上げたりもしていると聞く。

この供給不足はまだまだ続く見込みだ。

撤退と廃番

あとは廃業も結構、相次いでいる。

半世紀以上やったきた老舗が

「来年で撤退します」

「この製品廃番にします」

と続々と発表している。

やはり、採算性が悪かったのだろう。

大企業ほど、採算性が悪い事業は売り飛ばすか、廃業するかを迫られている。

「大手が作ってるんだから大丈夫」

はここ数年、通用しなくなってきた。

ノンキな化学業界にも、いよいよ火が付いてきたかもしれない。

2021年の化学業界はそんな暗いニュースが多い。

不変のものなど存在しない

そんなこともあって最近、つくづく思う。

不変のものなど存在しないのだと。

僕が携わる化学業界もようやく変革を迫られてきているし、そもそもコロナによって雇われ人という制度自体にも変化が訪れ始めている。

テレワークを導入できる企業とできない企業では、応募者の数も変わるだろう。

時代に適応できる会社や人は生き残り、過去のやり方に固執すると淘汰されていく。

そんな大自然のオキテが、今また降りかかってきている時期なのだ。

僕が計画していた、不動産投資ルートも、従来の方式では雲行きが怪しい。

数年前とは状況が変わってきており、これまで有効だった手法が通用しなくなってきていることを各所で目にする。

そもそも、これまでの方式は、なんらかの歪みや抜け穴をうまく利用して成り立ってきた。

制度の穴をつき、一般人の裏をかくことで利益が生まれていた。

2000年代に通用した手法が2010年代には通用しなくなり、新たな手法が編み出された。

その新たな手法も、実践者が増えて競争が激しくなったり、制度の穴によるトラブルが頻発して社会問題になって、穴が塞がれる。

そのようなプロセスを経た2020年代は、以前の手法は通用しなくなる。

とはいえまた、新たな手法が開発されていくのであろうが、その時に新たな手法を編み出せるのは、知識と経験があるベテランだけだろう。

初心者・素人が編み出すことは難しいのが現実だ。

決戦に備える

となると、持たざる者に残された手は、ベテランが編み出した手法をなるべく早期にキャッチして先行者優位を得てタネ銭を増やしていくことであろうか。

「どこかの扉が閉まれば、どこかの扉がまた開く」

と、聖帝サウザー師匠もよく言っていることだが、結局はその繰り返しなのだと思う。

僕はとある縁で、その「2021年だからこそ開いている扉」の情報を手に入れた。

その情報は確かに、2019年では通用しなかっただろうし、そして5年後にはもう閉まってしまっている扉だと思う。

2020年にその扉に飛び込んだ人は一稼ぎできたようだ。

そして、参入にはまとまった資金と、まとまった時間の投資が必要だった。

残念ながら、僕にはそのどちらもなく、このせっかく開いた扉に飛び込むことができなかった。

こういうことの繰り返しなんだと思う。

数年前は「民泊」で大儲けした人がたくさんいたが、今は壊滅している。

かつて隆盛を誇ったボロ戸建て投資も、プレーヤーの増加によってオイシイ物件は川上で押さえられてしまっているようだ。

盛者必衰、万物は流転する…そんなことを思いながらも、しかし絶望はしていない。

次に来る決戦に備えて、資金を貯め、日々勉強し、情報収集する。

それを怠らなければ、また新たな扉が開いた時にひと勝負できるはずだ。

「天下人は天が決める」とは花の慶次に登場する豊臣秀吉の言葉だが、僕が1980年代のバブルに生まれなかったのも、江戸時代に生まれなかったのも天が決めたことだし、このコロナ禍の時代に生きているのも天が決めたことなのではないだろうか。

その時々に、かならずチャンスはある。

紀伊國屋文左衛門がミカンを正月の江戸で売って大儲けしたことも、ユニクロの株を仕込んでいれば大金持ちになっていたこともあったはずだ。

ただその時に、そのチャンスをチャンスと見抜く選球眼。

そこにまとまった資金を投入する勇気。

扉に飛び込むには、選球眼と知勇、そして資金が要る。

チャンスは必ずどこかで、期間限定で出現するのだ。

だから僕はあきらめない。

雇われ人の日々をくだらなく感じながらも、あきらめない。決戦に備え続ける。

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