今日は台風15号の影響で、首都圏の電車は早朝から運休、午前中は各駅が大混雑となった。電車が来ないため、ホームが人で溢れ、入場規制となり、駅の外に大行列が発生。台風一過で晴天、高気圧のため気温も高く、雨が蒸発して蒸していた。そんな最悪のコンディションを僕はツイッターで傍観して、思いを馳せていたので日記として残しておこうと思う。
無理しなくなった鉄道各社
まず、今日の電車の運休は前日から既にアナウンスされていた。近年では、鉄道各社も無理に運行させることをやめて、運休を堂々と発表するようになった。これは良いことだ。10年前は、電車の運休などありえなかった。大雪が降っても、大地震の直後でも、無理してなんとか動かしていた記憶がある。ゆえに近年の鉄道各社の「無理です!」宣言はグッジョブであると言える。
鉄道が「無理!」といえば、労働者にも「電車が動かないので」というエクスキューズを与えることができる。上司も「電車が動かないんじゃ、仕方ない」と考える(はずだ)。
なぜ並んじゃうのか
では、なぜそのように鉄道という公的機関が出したエクスキューズがあるのに、人々は駅に詰め掛けてしまったのか。今日、僕は自宅待機した組なのだが、並ぶ気持ちは理解できた。なぜなら数年前は僕もブラック企業勤めで、大雪や大地震の次の日に並んだことがあるからだ。
忠誠心アピール
まずはこれが思い浮かぶ。多少大変でも、ちゃんと出勤しましたよ、根性あります、意欲ありますというアピールになると考えてしまうからだろう。
また、同僚がみんな出勤していた場合には、遅れをとってしまうと評価が悪くなるかも…という懸念もあるだろう。とにかく、上長や他人からの目を気にしている状態にある。
他人を出し抜こうとする
次に、朝早く並んだ人達は正直、他人を出し抜こうとしたから早く家を出たのであろう。始発とか、最速の電車に行けば、他人よりも早く出社できる。いつも通りの時間では、遅れをとってしまう。そんな気持ちが、彼らを早朝の駅に走らせたのだろう。
出勤の速さを競うのは、奴隷が鎖の太さを競うことに似ているかもしれない。
「皆勤賞」の呪縛
日本の学校教育には皆勤賞という社畜育成の基幹システムが組み込まれている。休まずに、遅刻早退しなかった者には、皆勤賞という「表彰状」が贈られる。…そう、「表彰状」だけが贈られるのだ。
これはまさに「オモチャの勲章」であり、こんなものを小学生の頃から仕込まれているから、日本人は盲目的に会社に尽くす奴隷となってしまうのだ。かくいう僕も、小学校の6年間、インフルエンザを除いて皆勤賞だった健康野郎だったから、わかるのだ。洗脳されていたということに…
無能な指揮官
世の中には「電車止まるってわかってたら、ビジネスホテル予約するっしょ?」というブラックな上司も存在しているらしいが、全体から見れば少数派であろう。おそらくこの10年で、そういう人材は引退したり、社会的コンプラから、排除されたと思われる。
さてそのような「ヒドい指揮官」は別として、今回の件で明らかになったのは「無能な指揮官」が多いということだ。結局、兵隊である一般社員は、将軍から「そこに留まれ」と命じられたら、留まるのである。逆に「進め」と言われたら進む。
さて今回の件、どうやら「自己判断で」という曖昧な指示、もしくはそもそも指示がないという会社が大半だったようである。あの混雑に並んだ人は、皆そのような大将の指揮下にある。「午前中は待機」と命じられていないから、あんな行列になったのだ。
指揮官は、兵隊の進退を決定しなくてはならない。兵隊は、その指示によって生きるか死ぬか決まる。今回の件はそこまで極端ではないにせよ、そこそこ重大な問題だった。そこで、指揮官がしっかりと指揮しないから、このようなカオスになってしまった。
その指揮官とは誰か?それは「社長」である。こういう非常時には、社長が判断し、陣頭で指揮をしなければ、全体の統率はとれない。今回の件で、そういう自覚がない社長ばかりだということが露呈した。
ログインボーナス
さてそのように指揮官の自覚がない社長にも非があるのだが、振り回された雇われ人達はかわいそうだ。だが、よく考えてみると、本当に出社する必要がある仕事をしている人は、どれだけいたのだろうか。
今は、携帯電話もあるし、スマホでメールのやり取りもできる。もちろん、会社のシステムなどは会社のPCや端末でないとアクセスできない等の特性もあろうが、たかが1日触れないだけで大事故になるだろうか。しかも、関東全域が麻痺するような状況だ。取引先も、皆同じ状況だ。
ここで浮かび上がってくるのは、皆、ログインボーナスをもらいに会社に行っているということだ。勤怠のタイムカードを押して、出勤の履歴をつけなければ、勤怠に傷がつく。そう思って、ログインボーナスをもらいに行ったのではないだろうか。
こんな偉そうに語る僕もまた、日々、会社にはログインボーナスをもらいに行っている。そのログインボーナスの集合が、年収だと思っている。実際、僕が出社しなくてはならない日なんて全体の半分もいらないと思う。これはスマホやシステムの進化と普及のおかげだ。
僕の勤務先
最後に、僕の勤務先、化学メーカーの今日のお話しをしよう。
まず、弊社は普段から特に勤怠はない。営業職だからということもあるのだが「そういえば、アイツ今日いなくね?直行?」と10時ごろ気づく。なぜなら直行や直帰が自己判断だからだ。なので今日も、特に上長への連絡も必要なく、他の同僚もちらほらとテキトーに出勤してきて、特に咎める者もいない。
例年の大雪や台風で電車がダメなときは、もうダメとして、割とすぐに諦めている。
「来なくていいです」「帰っていいです」が割とすぐに発表される。社長の判断の速さは素晴らしい。というか、社長が「もう帰りたいので帰るね」みたいな人だからだろう。指示が早いのは兵隊としてはありがたい。今回も「無理はせずに運行再開したら出勤せよ」というメールがきたから、僕は自宅待機を決め込み、午後に出社した。
そしてなぜ、こんなゆるいのか、考えた。考えた結果、それは弊社が儲かっているからだと思った。社長の気質もあるだろうが、でも儲かってなかったらこんなに呑気ではないだろう。やっぱり、儲かっているから、余裕があるから、こういう雰囲気になるんだと思う。
ちなみに僕の前職、全然儲かっていない建築関係の会社では、毎日ピリピリしてたしこういう災害の日でも、遅れたら「ヤル気ネェんだなオマエ!?」と怒鳴られるような会社だった。実際、怖かったから僕はカプセルホテルに前乗りしてたりしていた。自腹で。完全に調教されていた…
なぜそんなピリピリするのかと思えば、やっぱり儲かってなかったからだと思う。営業マンをビシバシ叩かなければ仕事が取れなくて、売上も上がらないような会社だったから、ピリピリしていた。やっぱり、儲かっているかどうかは大事だと思う。
参考記事:「営業 きつい つらい」の真実
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