新型コロナウィルスの出現で、雇われ人仕事の潮目が変わった。
サボリーマンに徹していてはいつか詰む…そんなことを最近感じる出来事があったので日記として書き残しておく。
化学メーカーの業績
コロナ禍を約1年間通じた化学メーカーの業績を振り返る。
幸いなことに、僕の勤務先は業績に悪影響はなかった。
業界地図やビジネス誌などでは
「化学業界は業績悪い」
とされているが、これは正しい面と、そうでない部分があると思う。
というのも、化学業界というのは幅広すぎるからだ。
上流の、石油を生成する企業はもちろんのこと、そこから1次、2次加工の化学品を作っているメーカー(僕の勤務先もこの辺に入る)、
そのさらに先の塗料メーカー、インキメーカー、製紙会社なども化学メーカーに含まれている。
僕は思うに、申し訳ないが、塗料や紙関連は厳密には化学業界ではないと思う。
塗料は建築業とか、自動車産業に半分組み込まれているし、紙関連は出版とか新聞とかホビーとかに組み込まれているから、もはや化学ではないんじゃないか?と個人的に感じている。
ただ、経産省や国税庁が分類をしていく上で、先述の塗料メーカーや製紙メーカーを見ると、どちらかといえば化学業界に分類した方がしっくりくる。それは、確かに特性上、そうなのだ。
しかし僕は個人的には、化学メーカーというのはその先に多くの分化ができる材料を作っているメーカーを指すと考えている。
僕の扱っている化学品も、物質としての根本は同じだが、細かい調整によって紙関連にも、建築関係にも、自動車関連にも、ホビーにも、土木にも、電材にも、化粧品にも使える。
だからこそ、このような不安定な情勢下にあっても多くの脚があるから簡単には倒れず、リスクヘッジができているのだ。
そういう意味で、建築や自動車、新聞や雑誌に多くのウェイトをかけている塗料・製紙メーカーは、僕の分類においては化学メーカーではないと捉えている。
しかし先述のように国や出版社の統計の分類では「化学」に入っているから、化学業界全体が悪いように見えてしまう。
化学業界は川の流れのように上流〜中流〜下流〜河口があり、僕としてはこの流れの中では「上流〜中流」までが純粋なる化学メーカーだと考えている。
少し話が長くなってしまったが、そういうわけで、上流〜中流の化学メーカーは多くの業種や品種にリスクヘッジが効いているから、大きくダメージを受けなかったところが多い。
ただ、先述のように紙や塗料は悲惨だ…
紙は、イベントや学校が休校になった関係で需要が大きく減った。
イベントで使うカタログやパンフレット、ポスターなどは付加価値が高いこともあり、紙関連の最後の砦であった。
これが中止となるとかなり辛い。
また自動車も、2020年度前半の稼働ストップがかなり痛い。
夏ごろから再稼働し始めたが、完全回復とはいかなかった(ただ2021年に入ってから急に活況になりつつある)。
「移動」が無くなった
そんな中、同時に営業マンの働き方も強制的に改革が進んだ。
コロナ対策により訪問面談が推奨されなくなり、お客様にもWebミーティングが浸透した。
その結果、「移動」という時間的なコストが実質的に無くなった。
「なんだ、客先に赴かなくても打ち合わせはできるし、むしろ移動しなくてもいいからラクじゃん!」
ということに多くの人が気付いたのだ。
そのため直行直帰もなくなったし、「とりあえず」の外出も許されなくなった。
エアアポイントメントを入れて、とりあえず外出さえしていれば、なんとなく仕事している風に見えていた弊社営業部だったが、そもそもその根幹を支えていた「物理的な面談」が無くなってしまったのだ。
僕はこれまで、化学メーカーの営業はゆるふわだと主張し続けてきた。
毎月・勝手に・売れるという性質を持っている商材だからだ。
そこに勤務する営業マンは、「売り子」ではなく「店番」「渉外」「大使」として、気楽に営業活動(?)ができていた。
数字ノルマもとやかく言われないし、勝手に売れるし、まぁ原料高騰とかトラブル時に「いざ鎌倉!」とスポット的にちょっとがんばる、みたいな働き方をしていた。
僕はそんなゆるふわな環境をエルドラドと呼び、聖丁師匠の白熱教室「意識低い系転職」にてその内容を語ったのだった。
しかしそんな異次元のユルさは、もう失われてしまった。
ただ、ブラックになったとは思わず、「適正になった」と感じる。
これまで、致し方ないとされていた「移動」というコストがWeb面談によって実質的に無くなった。
これまでは車を運転して半日かけて訪問して、1〜2件が限度だったところ、Web面談なら4〜5件を1日にこなすことも難しくはない。
人員削減と転職?
一気に、かなりの効率化が進んでしまった。つまり次には人員削減が迫ってくる。
そしてもう僕の耳にも誰が異動か、届いている。
その人は…50代のお気楽オッチャンだ。
営業部は純粋にマイナス1名。これは会社側からしたら効率化の成果と言える。
潮目が完全に変わった。
とはいえ…今までが異常だっただけなのだが。
「異次元のラクさ」から、適正〜やや美味しいくらいに格下げは否めない。
しかしこのWeb面談の推奨や効率化は、どの業界でも同じと思われる。
なので、仮に僕が転職してもこれは変わらないだろう。
いわば営業職全般が「移動」という名目のサボり時間を失ってしまったわけで、これは転職では解決しない。
※小売とか建築とか「現場」が大事な営業職はリアル訪問が主体と思われるがそもそもブラック薄給なので選ばない。
求められる非購買力
こうして「とりあえず外出」というパッと見、仕事やってるんじゃないか?ムーブがもう許されなくなった。
今後は純粋に成果でジャッジされるようになるであろう。
これまでは有事の際にアタマ数が必要だった。時間は有限で、移動に時間がかかる以上、そこは人海戦術しかない。
だから平時はヒマだけど有事には「いざ鎌倉!」要員としてアタマ数が必要だった。
しかし、Web面談を使えばアタマ数を半分にすることは可能だ。
営業マンは移動という作業が無くなった分、かつての2倍の顧客を担当することが可能になったと言える。
ここまでは、ひとまず「店番」としての役割。
次には「渉外」「宣教師」としての役割の効率化も一気に進む。
そこでは、被購買力でいうところの「実用性」が重視されていくだろう。
同時に「善き友である」ことも比重が大きくなる。現実での面談ができなくなるからだ。
今まで物質的に「面談」でカバーしてた信頼感を、電話やWebで獲得するには、今以上に「善き友」性が求められる。
つまり被購買力がない人は自然と成果(新規開拓)が上げられなくなる。
(参考記事:営業タイプ5分類)
内勤へ異動するリスク
成果があげられないと部署異動の確率が上がっていく。
別に部署異動が悪いわけではない。
とはいえ、完全なる内勤部署となるとフリーの時間を生み出す術が実質的になくなる。
弛緩できず気力も失う。
これは自分の事業をやるには大きなハンデであると思う。
というか今僕は内勤の改革をやってるが気力全消費の日がある。
内勤というのは、精神力を使う仕事なのだと知った。
そうして今までノンキに暮らしてた、被購買力がない弊社オッチャン達はもう営業マンとしては限界で、いずれ整理されていくことは避けられないだろう。
先述の「いざ鎌倉!」のアタマ数揃えの営業マンはもう要らないのだから。
これからは、大将軍や凄腕ヒットマンのみ生き残る(ヒットマン:部下を持たないスゴ腕営業マン)。
大将軍やヒットマンがWeb面談で1日4〜5件処理したら、最大効率が得られる。
彼らは営業としての戦闘力(=非購買力)が高いからだ。
キングダムに例えるなら、合戦が起こった時に
「歩兵戦は時間も費用もすごく掛かって非効率なので、将軍同士で一騎討ち大会やって勝敗決めましょう」
となる。
そうなると飛信隊だと渕副将とその下の崇原歩兵長とかみんな要らなくなる、みたいな状況。
だからアタマ数確保の歩兵のオッチャンはもはや不要で、オッチャン達は戦々恐々である。
しかしそこに容赦はないであろう。
オッチャン達にとってのユートピアはここに潰えた。
ネオ雇われ人を目指して
逆に、被購買力が高く、成果に対する熱量がある者の価値が相対的に高まる。
こと化学業界においては対外的なもの(他社との競争)は別として、社内的には乱世となった。
大将軍か凄腕ヒットマンしか営業はやらせてもらえず、内勤になると不自由な歯車ルートを避けられない(僕は気力を使い果たしてしまうため、避けたい)。
内勤は自分の事業へ差し障り、結果、卒業が遠のくと僕は考える。
そのため、やはり非購買力を高めて、新規開拓を行って成果を出していく。
そうして誰もがその存在を認める大将軍か、凄腕ヒットマンを目指す。
その途中で不動産を買い進め、キャッシュフローを確保して、生活費をなんとか賄えるレベルまで買い増す(20〜30万円/月くらいか?)。
そのキャッシュフローを達成できたとき、はじめて君主(社長)と交渉するカードが揃う。
すなわち「辞める」or「残るが自由にやらせてもらう」だ。
まずは「辞める」。
潔く辞めてもいい。全く問題ない。
しかし自分がそのとき、かけがえのない大将軍だったり凄腕ヒットマンだったら、本気の慰留がなされる可能性がある。
そして仕事自体が「くるしゅうない」状態で、かつ君主(社長)に恩義を感じている場合には、お仕えすることはやぶさかではない。
となれば時間を獲得する交渉を行う。
毎日は出社せず、週2〜3出社くらいのフレックス契約にしてくれないか?と交渉する。
「は?そんなのありえねーわw
辞めて、どうぞ」
と言われるならそこまででいい。
これは真にかけがえのない大将軍や凄腕ヒットマンになれていなかったというだけだ。
「辞めてどうぞ」と言われたときに詰まない。そのために不動産キャッシュフローを構築しておく。
まとめるとこの交渉には
「生活費分のキャッシュフロー」と
「大将軍or凄腕ヒットマン級の実務能力」
が必要になる。
仮にこの交渉がテーブルに載って一考された場合、
給与減で良いから週3日勤務を提示してみる。
単純に40%オフだ。
つまり「カネはいいから時間くれ」という交渉である。
すると年間休日は基本の約120日+2日×50週=約220日となる。
かつ有給休暇20日も全消費で追加すれば約240日となる。
こうなれば雇われ人仕事も辛くはないと思う。属性も保てる。
ただこれは、まだ現段階では僕の妄想だ。
社長に「は?自惚れんな?さっさと辞めてどうぞ」
と言われるのが十中八九だろうが、それでもこの作戦、チャレンジしてみる価値はあると思う。
仮にこれが成立した場合、普通の社員とは言えない。
ある意味での独立勢力、顧問とか相談役のようなポジションになる。
「フリーランスだけど専属エージェント」みたいなものだ。
年俸制で週2日コミットするような状況か。
これが達成されたとき、ネオ雇われ人の扉が開くのではないかーー
と妄想し仮説を立てている。
ボロ戸建てが過熱しライバル過多・利回りは下落の環境下、社会情勢は不安定になり、飲食業(独立しやすい)も厳しいこの時代で、僕らはまた新たな選択肢を模索しなくてはならなくなった。
そのひとつの可能性として、ネオ雇われ人という選択肢について、研究を進めていく。
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