最近の聖丁radioプレミアムにおいては、新たな潮流が生まれつつある。
聖帝サウザー師匠の語り口に変化があるのを、リスナー諸兄は感じていることかと思う。
有料(1,000円/月:Web版から申し込み)の内容ゆえ、ここでは詳細には語れないのであるが、とにかく聖帝サウザー師匠もVoicyを丸4年やってこられて感じておられることが伝わってくる、直近のプレミアム回であった。
5年間の歩み
今から9年前の2013年。無名のイチ読者として金融日記へ投稿(愛などいらぬ!)し、ネット芸人活動をスタートした聖帝サウザー氏。
僕はこの期間のことは詳しくないのだが、この2013〜15年、恋愛工学界隈は全盛期だったとのこと。
この中で、聖帝サウザー氏の著名論文の投稿の数々や、『僕愛』のレビュー等、記憶に残る実績は数えきれない。
そのことはマスターゴッホの手記に詳しい
そして白熱教室の開始が2016年。
アメブロが2017年、Voicyが2018年。
このキャリアの中で「勤め人卒業」というテーマを論じたのはアメブロからであるから、もう5年以上も、氏はこのテーマを発信し続けてきた。
5年である。
2022年の今から5年前といえば2017年。
5年前の自分のことを思い出してみれば、どれだけ時間が経ったかしみじみとする。
2017年とは、トランプ大統領が就任した年である。
当時はコロナもなかった。
そう思うと、随分前に感じられないだろうか。
その頃から、聖帝サウザー師匠は「勤め人卒業」というテーマをブログ、オーディオブック、ネットラジオといった媒体で、世間に発信し続けていた。
ひとつの時代の完成
そして2022年の今。
そんな聖帝サウザー師匠が何を思うのか?
その告白がプレミアムにてなされた。
僕はそれを聞いて素直に、反射的に、「寂しいな」と感じてしまった。
しかし同時に「そうだよな」とも思った。
聖帝師匠にとっては、もう語りたいことは語り尽くしているし、実際にうまくいったリスナーも出てきている。
つまり聖帝師匠の主張は正しい面があったことが十分に証明されているのだ。
「正しい面もあった」というやや消極的な書き方は、致し方ないことと思い、そう書いた。
全ての成功談・経験則がそうであるように、それらが遍く全ての人に当てはまることはない。
有効な人もいればそうでない人もいる。
全ての人に絶対有効な方法などないからだ。
しかし、特定の階層の特定の価値観を持つ人々にとっての最適解となった。
これを聖帝サウザー師匠はずっと提唱してきた。
この5年間は、それを世に問う、氏個人の壮大な社会実験であったとも言える。
ブログ、ラジオ、オーディオブックを通じて伝播された聖帝サウザー方式。
それを実践した人が日本中にいた。
そしてその中の一定人数が、彼らの持つモノサシの中での「成功」の基準に達したという事実もまた、確かに存在したようである。
この事実をもってして、氏の主張は「正しい面もあった」という認識をされる資格を得た。
当然のことながら、物事には絶対的な正解はない。
成功に関しても、その定義は人それぞれであるから、万人にとっての「正解」など証明のしようがない。
そのような状況の中で、「とある階層」の「とある価値観」をもつ一部の人々にとっての最適解を探るという意味での試み。
それが聖帝サウザー師匠の発信活動だったのだ。
聖帝流が刺さる条件
まず「とある社会階層」とは
- 男性
- 20代後半〜30代前半
- 年収が中、以上(500万円〜)
- 学習能力、論理性(=そこそこ学歴以上)
- 独身もしくは既婚で子なし
- 奨学金や家・車ローンがない
という、言ってしまえばまぁまぁ優秀で恵まれている層であろう。
これらのハード面での前提条件がないとまずサウザーラジオは「聞」けない。
音波を鼓膜で「聴」くことはできても、その内容を理解して受け入れて咀嚼する、つまり「聞」けたのは、上記の条件が揃っている人達だけであっただろう。
ひとつでも条件が満たない場合、「こんなの実現性はない」とか「一生懸命働いている人を馬鹿にしている!」という感情論によって脱落してしまう。
またそれらを聞き入れる精神的な素直さがあったとしても、基礎的な地アタマ、知識経験や向上心、知的好奇心がないと「何言ってるんだかわからない。難しい」で脱落してしまう。
加えてそれらを受け入れて「聞」くことができて知能があっても年収が低くて転職もできない年齢や職種だったり、子供がいたりローンがある状況だと身動きが取れず脱落する人もいる。
厳しい見方をすれば、そのような状況にあっても打破して状況を好転させてから再スタートすべし、という正論の指摘になるが、こんがらがった爆弾解除には多大なエネルギーを要すこともあり、なかなか実践できる人は少ない。
つまりこれらの前提条件、いわば「ハード面」での条件が揃った一部の人がいて、さらにそこにこれから説明する「ソフト面」が備わった人達にのみ聖帝サウザー流は刺さり、効果を発揮し始めるのだ。
ソフト面つまり「とある価値観」とは、これらが考えられる。
- 人に命令されるのが嫌
- 人の目を気にするのが嫌
- 人に作られたルールに従わされるのが嫌
- 非効率なこと・無駄なことが嫌
- 人の道に外れることが嫌
このような独立した価値観を持ち、独自の美学を持っている人。
それまでの集団生活で謎の閉塞感を感じていた人。
これらの人々は「普通の一般ピーポー」だらけの会社組織に所属したときに息苦しさを覚える。
なぜなら一般ピーポーは基本的に
「自分が怒られないかどうか」
のみが関心ごとだからだ。
- 親に怒られないか
- 上司に怒られないか
- 配偶者(妻)に怒られないか
- 警察に怒られないか
- 国家に怒られないか
この「怒られないかどうか」という態度は「人の目、評価を気にする」ということで、すなわち自分の外に評価軸がある状態である。
それを無意識に受け入れてしまう人が一般ピーポーとして兵隊をしていく。
しかしそれは、一種の幸せでもある。
兵隊気質の人に、将・指揮官の役割をやらせるのは適性に合っていない。
成果も出ないから本人もつらい。
兵隊という役割は確かに過酷ではある。
しかし自分で考えなくていい、命令に従ってさえいればいい、怒られなければいいという思考放棄の生き方が兵隊には待っている。
これは能力なき人にとっては一種の最適解となる。
自由に泳いでいいと言われても困ってしまう人に、このレーンをこのスピードで泳げ、と言う方が優しい場面もあるのだ。
逆に、このような兵隊扱いが耐えられない、という人に聖帝サウザー氏の思想は刺さるのである。
人に怒られるのとかどうでもいい、誰かの命令の言いなりになるのは嫌だ、人目を気にしない性格である、自分の美学とルールに従いたい。
このようなことを強く願う人の耳に、サウザーラジオは染み込んでいく。
世界の難易度が上昇
こうして「勤め人卒業」というユメを植え付けられた人々は歩き出した。
節約して貯金して種銭を溜め、自分の商品を作ろうと努力し、自分の事業を作ろうとした。
築古の戸建て大家さんになる人もいたし、業者登録して融資引いてアパート事業を始めた人もいたし、それを目指した人もいた。
しかしそこにコロナショックと、世界的な物資不足が襲いかかってきた。
脱サラしやすい業態である飲食店が難しくなり、木材不足(ウッドショック)により新築の建築費は激増、そしてサラリーマン大家さんに対する審査の強化や参入が増えすぎて買いにくくなった築古物件。
この数年で「世界」の難易度は一気に数段上がってしまった。
僕も、化学メーカーを推奨していたのは「毎月勝手に売れる」から「そもそもやることがない」ので「サボり放題」という特性があったからだ。
それなのに、世界的な物資不足で原材料は上がる一方、従って値上げもしなくてはならないというかつてない状況。
僕は昨年から値上げ交渉で走り回って、資料作って残業している。まったく情けない限りだ。
しかしこれは、何も化学業界だけのことではない。
化学メーカーが値上げをしたら、その次のメーカーもまた価格転換していかなくてはならない。
この値上げの連鎖に巻き込まれない商売はほぼない。
一般消費者の財布の紐は固くなるし、原材料が関係ない金融やコンサルであっても、お金のない企業はそういったサービスにお金を使いたくても使えなくなる。
本当に必要なものしか売れなくなっていく。
そういうことから考えるならば、化学メーカーが作っている「素材」はとても強いのでやはり僕は化学メーカーを今後もお薦めする。
昨年と今回の値上げで分かったことだが、今生き残っている素材メーカーというのは淘汰選別がだいぶ進んでいるために、かなり強い力を持っている。
お客様が「他から買うわ」したくなったとする。
しかしその「他」に「売ってくれない?」と打診した時に
「申し訳ないが今はウチ、既存のお客様の分までしか確保できてないしそれすら足りない状況。とても新規は受け入れられる余裕がない。悪いけど受けられません」
となってしまうのだ。そうして弾き出されて路頭に迷うお客様は結局、元鞘に戻ろうとして以前より高い金額を提示され困り果てる。
こういう企業は最終的に原料調達が出来なくなってつぶれるという結末となるだろう。
残酷でかわいそうなことだが、致し方ない社会情勢なのだ。
材料の調達競争という、とても強い淘汰圧がかかってくるだろう。
これからの資源難の時代、調達競争を乗り越えられない企業は淘汰されてしまう。
さてそのような厳しい世の中においては、僕はどう立ち回っていけばいいのだろうかと考えた。
ひとまず現職の化学メーカーという船に乗っている限りは、よほどのことがなければ生きてはいけそうだ。
値上げ活動は多少、大変ではある。
しかしこれは全業界・全業種で大変なことだから条件はほぼ一緒と言えるし、むしろ先述のように値上げゴリ押しできる立場という点で化学メーカーはややイージーとさえ言える。
値上げしたくてもできない業種や商材も多いので、そう考えると化学メーカーはまだマシと僕は思う。なぜならお客様たちが値上げ出来ず苦しんでいるのに僕らは容赦なく値上げしているからだ。
数字はぼやかすが、昨年の春夏に+10%、秋冬にさらに+10%、そして直近で追加+20%とかいう異次元の値上げをし続けているからだ。というかしないと潰れる。
そしてお客様はこれだけ値上げられても、最終製品に+5%とかしか反映できていない。
原材料の値上がり分は、すべて持ち出し。
自社の利益を削っているのだ。
飛び立つべき時に飛ぶ
そう考えると化学メーカーというのは「値上げ力」が強いので、仕事の大変さは相対的にラクである、とまで言えると感じている。
そう考えれば、この船にずっと乗り続けて、忠義の騎士でいる限りは生存確率は高いであろう。
そしてリアルな話、僕ももう転職を気軽にできる年齢ではなくなったし、ライフステージも着実に上がってきている。
サウザーラジオを聴き始めた当時、2018年に20代後半だった僕はもういないのだ。
ただ、聖帝サウザー師匠の教えにより住宅ローンや新車ローンを回避できたということでマイナスのキャッシュフローは無いし、見栄にお金を使うなという教えもあり、蓄財はある程度のレベルで出来た。
2018年から考えると、僕は若さと身軽さを失ってしまったが、そのかわり種銭とこのアカウントつまりこの文章を読んでくださる読者の皆様を手に入れた。
この資産を使って、いつ飛び立つのか?そのチャンスを虎視眈々と狙い続けていく所存だ。
聖帝サウザー師匠の白熱教室シリーズを聴き込んでわかったことがある。
勤め人を卒業している先輩諸兄は、「飛ぶべき時に飛び立った」ということである。
加藤ひろゆきさんも、ポールさんもふんどし王子も、支那そば軍曹殿も、そして聖帝サウザー師匠も。
みな、準備期間があるなかでビッグウェーブが来たその時に、勇気を持って飛び出して波に乗って独立した。
準備とは、資金や知識経験を指す。
ビッグウェーブが来ても乗るための準備や資金的余裕がないと飛ぶに飛べなかったりする。
先輩諸兄は、飛び立てる状態の時にビッグウェーブが来て、しっかり飛んでいる。
もし仮にビッグウェーブでやられても、即死はないという状況が彼らを大波に立ち向かわせたのだ。
そういう意味では僕も多少の準備はできつつある。
あとはビッグウェーブを認識して乗るかどうかだ。
僕が思うビッグウェーブとは、価値があるものが不当に安くなる瞬間、もしくは不当に高くなる瞬間である。
要するに何らかのバブルが膨張している時か、もしくはハジけた直後がチャンスだ。
かつて築古戸建てが不当に安い時もあったし、逆にスルガバブルで価値以上の価格がついたときもある。
食材と人件費が安かった時代もあるし、ネット芸人バブル期もあった。
それらの波を見定めて、然るべき資金を投入してサッと乗る。
その日のために、諦めず牙を磨き続け、脱出ポッドの建造を休まない。
そうして準備している人の元に、ある日突然ビッグウェーブがやってくるのだと僕は信じている。
もちろんそのビッグウェーブをビッグウェーブと見抜けるようになっていないと意味がないのだが。
ビッグウェーブはいつ来るかわからない。
何かのバブルか、大暴落を待つ。
つらい現状を、何とか凌いで耐えながら、準備をしてチャンスを待つ。
その戦いがいつまで続くのかは天のみぞ知るところであり、もしかしたらビッグウェーブはついぞ来ないかもしれない。
だがそれは人智の及ばぬ領域。
まさに「天下人は天が決める」のである。
一体、幾星霜のユメとなるのか…
それでも全く諦めるよりは、いつまでもユメを心の奥底で燻らせている方が人生にハリが出るのではないかと思い、今日もこうしてブログを書いている。
コメント
こんにちは。
ヤコバシさんのブログ・白熱教室で勉強させていただき、この度リクA経由で、toCの個人営業職から化学系メーカーの法人営業職に転職が決まりました!
ヤコバシさんがお勤めかつ推奨している、『原料』を製造しているわけではなく、未上場四季報にも載っていませんが、ニッチな分野でトップクラスのメーカーです。リクAに公表している経常利益率もかなり良いです。
募集背景は、『社員が高齢化していて後任を探しているから』だそうです。「白熱教室の通りじゃねーか!」と面接中、心の中でツッコんでおりました。
本当にありがとうございます。勿論まだスタートラインに立ったばかりでこれからどうなるか分かりませんが、ヤコバシさんは私にとって英雄です。
まずは転職できたとのこと、おめでとうございます!
toC営業は大変だったことでしょう…それに比べると、だいぶ労働環境は改善されるのではないかと思います。
ニッチ分野でトップ、儲かっている、ということであれば何も問題ありません。素晴らしいです。
未上場四季報、原料かどうか、は要素のひとつであって大切なのは「毎月勝手に売れるという商材であるかどうか」、ですのでジローさんの内定先というのは心配ないかと思われます。
そして「若手が少ない」会社こそ、入社後も同年代の人々と競い合うこともなく、マッタリと人間らしい生活ができると思います(ただしおじいちゃん達を介護したり飼い慣らす意識は必要)。
私もこのような活動を通じて、ひとりでも人生を好転できるお手伝いができたと思うと、大変嬉しいです。
また進捗あればコメントいただけたらと思います。