既に激烈に揉まれてた

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就職活動

僕はこのブログでも、転職のブログでも、白熱教室でも、自分の電子書籍でも「化学メーカーは強い」と繰り返してきた。

2020年4月、世界は新型コロナウイルスの災禍にあり、連日、人命だけでなく経済活動への影響が報道されている。飲食店やサービス業はこれから甚大な数の倒産や解雇が相次ぐだろう。

では化学業界はどうなのか?

僕が知る限りの情報を材料にして、現況を見渡して、素人ながらも意見を述べる。

自社・顧客ともに工場は動いている

まず、緊急事態宣言が出されてから営業マンとか事務員とかはリモートワークに移行したが、生産現場は変わらず稼働している。

私のお客様も同じような対応であり、工場は稼働している。

化学メーカーの場合、お客様もメーカーであり、さらにその先のお客様もいたりする。そうして、最終的には一般消費者が使う末端製品になっていく。あなたの身の回りにある日用品の一部に、僕の勤務先が作っているものが、形を変えて使われている。

もちろん、弊社の製品はそのまんまでは使えないので、このようなプロセスを経て、最終製品になっていくのだ。

自動車のパーツになるものもあるし、日用品の一部になるものもある。高価なものにも、安価なものにも幅広く使われている。またそれらの加工の工程間で消費されるパターンもある。

需要が減る製品、変わらない製品

このように、弊社の化学品は多種多様な末端製品に密接に関わっている。

弊社製品が最終的に何に使われているかを知っているので、市場の動向がちょっとわかる。

やはり贅沢品や不要不急系の最終商品に関連するものは動きが鈍い。注文のペースが落ちている。

末端商品、つまり出口が塞がっているのだから、その中間までの材料を使わないのは当然のことだ。

ちなみにこのような高級品・贅沢品向けは末端価格が高いこともあり、僕らも高値を提示してもOKをもらえるパターンが多かった(限度はあるが)。

だからもし、弊社がこれらの高級品・贅沢品が「儲かるなぁ〜」ということで、リソースを全振りしていたら危なかったかもしれない。

逆に日用品系は出荷数量は変わらず、やや増産基調すらある。

お客様と一蓮托生

これまで、日用品向けは末端価格が安いこともあり、適正な値段でしか販売ができなかった。だから平時には「利益率が少ないぞ」とか指摘を受けていたのだが、それは末端価格を考慮すれば致し方ないことなのである。

僕らが売値を高くしたら、ドミノ倒し的に連鎖して末端商品が高くなる。すると末端の市場で価格競争に勝てず売れなくなってしまう。そうしたら共倒れだ。

僕ら化学メーカーはお客様と一蓮托生とも言える。だから良いパートナー選びが大切なのだ。

幸いにも、弊社のお客様たちは市場で勝ち残っている企業ばかりだ。その勝馬に乗っているので、弊社も大きな影響を受けていないのが現状だろう。

しかし裏を返せば、僕らが良い原料を適正な値段…むしろちょっと安く納入していたから、そのお客様は市場で勝利することができたとも考えられる。

チームワークの勝利と言えるだろう。

既に強いフィルターを受けていた化学品

僕は今まで、化学メーカーは楽だよ、ゆるふわだよ、おじいちゃんだらけのノンキな社風だよと繰り返し述べてきた。そのため、読者の皆様の頭には「能天気でアッパッパーな業界なのかなぁ」というイメージがついてしまっているかもしれない。

そうなってしまっているとしたら、僕の伝え方が悪かった。謝らなくてはならない。

化学メーカーは、既にこの50年の間に、激烈なフィルターを受けてきている。

オイルショックを皮切りに、バブル崩壊、リーマンショック、相次ぐ原油の高騰、様々なメーカーでの爆発事故、強まる規制物質の法令などなど…本当に、苦しい時代もあった。その中で、耐えきれなかった化学メーカーはほとんど淘汰されてしまった。

また化学メーカーはその業態、「危険物を取り扱う」という点から、消防署をはじめとして行政からも厳しいチェックを受ける。どこかのメーカーがやらかすたびに、抜き打ち検査が起きる。そのため、工場の危機管理能力は非常に高いレベルがある。

またISOやJIS認定といった公的機関による定期的なチェックもあり、これに対応するにはかなりの人的リソースとノウハウが必要だ。

これらを取得していないと、大企業のお客様と取引はできないから、必須だ。

そしてお客様の最終商品を市場で勝たせるために、優れた原料を開発し続けてきた。それを安価に売る努力も。決してラクな道ではなかったと聞く。

そんな風に、現存する化学メーカーは、既に激烈なフィルターを潜り抜けてきている。

半端な化学メーカーは、もう生き残っておらず淘汰されきっていると僕は肌感覚として感じている。

だから、僕は30年くらい前の先人たちを尊敬している。まさに苦闘の時代に彼らが作ってくれた大きな大きな財産の上に、僕はゆるふわな営業マンができている。感謝しかない。

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