【感想】聖丁白熱教室 太田製作所編

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聖帝白熱教室

聖丁白熱教室の感想記事。今回は太田製作所編。

成功する地方移住と田舎暮らしについて語る決定版~イノシシを捕まえて報奨金で儲ける方法~

メインテーマ:地方暮らし

副題に「イノシシを狩って儲ける」というワードがあるため、なんだか少し、副業チックな風味を一瞬感じてしまうかもしれない。

しかし、本作のメインテーマは

「地方移住(田舎暮らし)をいかに失敗しないか」

という内容となっている。

名著『まだ東京で消耗してるの?』を読んだ人もいるかと思うが、聖帝サウザー流においては家賃コストが低い地方への移住が推奨され続けてきた。

東京・大阪・名古屋といった大都市と、そこから電車で1時間以内の郊外に住まうと家賃が高いので、そのロスを減らしたいという意図だ。

本作ではないが、「ひとり白熱教室」においてもこの概念は大切な概念として強調されている。

家賃というものは、地主(資本家)からの収奪の一種である。

土地を持たない者はその居住空間の確保をするために、マンションやアパートを借りる。

買おうとすれば何千万円もかかるため、一気に買えない。

そのため「レンタル」する。そのレンタル料が家賃だ。

「家賃」と呼ぶと、なんだか生活に必要で、外すことのできない費用のように感じるし、実際そうだろう。

また多くの場合は銀行口座からの自動引き落としだろうから、「支払っている」という感覚も薄めだ。

おそらく自分の支出の中で最も大きな面積を占めるはずなのに。

その本質は、「お部屋レンタル代」である。

この「お部屋レンタル代」は、他の多くのレンタル物がそうであるように、割高な金額が設定されている。

例えばスノーボードの板やウェアは、何回かレンタルしたら買ったのと同じになるから、それなら買った方がいいなと思うこともある。

住宅も同じで、レンタルというものは割高なのだ。

とはいえ、では自宅を買った方がいいのかというと、そうでもない。

購入の場合にはローンを組むことになるから、そのお金のレンタル代(利子)が結局はかかる。

つまりは地主にレンタル代として取られるか、銀行にレンタル代として取られるか、が違うだけだ。

これを回避するのが「現金一括購入」であるが、30代が貯金を貯めて買える範囲となればせいぜい1,000万円くらいまでではないだろうか。

また新築の戸建やマンションは、「カギを開けた瞬間3割減」と言われるように、新品プレミアムが大量に載っている。

もちろんその新築を計画して広告して、販促するためのチラシ代や人件費がかかっているから、そうなってしまうのである。

先述のように現金一括の、1,000万円の予算を考えていくと、

  • 地面の値段が安い
  • 新築プレミアムなし

という条件となる。

すると

  • 都会から電車で1時間以上かかる
  • 中古

という条件が自ずと浮かび上がる。

聖帝流を実現しようとすれば支出の削減は必須だ。

その支出の中で最も大きなウェイトを占める「家賃」。

これをいかに下げていくかが至上命題である。

つまりいかにして地方の中古物件を手に入れるか?ということだ。

この点において既に実家が地方にあるとか、余っている土地があるという人は有利といえよう。

ご先祖様の蓄積を、ありがたく使わせて貰えば良い。

しかしそういうものがない人は、自力で獲得しなくてはならない。

その方法が、本作では語られている。

地方は今なお中世

地方に移住したいと思ったとして、ネットで地方移住について検索してみる。

すると良い面だけでなく、悪い面も見えて来る。

陰湿な地方文化に慣れなかったとか、先住民とトラブルになったりとか、つまりは人間関係である。

このことについては、私が担当させていただいた紹介文のVol.2とVol.3に詳しく述べた。

つまりは地方というのは未だに動物の群れとしての本能を色濃く残しているということだ。

「村の掟」というものは、人類がそれまで集団生活をして生き残ってくるための知恵である。

そういうものが軽視され始めたのは都市(シティ)での暮らしが広まった、高度成長期以降の話だ。

つまりまだ半世紀ほどの歴史しかない。

この「村の掟」を軽視する者が自分達のコミュニティ、チームに突如入り込んできて

「いや私は掟なんて知りませんし協力する筋合いはありません」

なんて言おうものならいじめられるのは当然のことだ。

本作ではそういうことが述べられている。

狩猟というワイルドカード

ではどうやったら良いのか?地方移住は夢のまた夢なのか?それに対する具体的な処方のひとつを、本作は提示してくれる。

それは「猟師になる」こと。

猟師になって、イノシシやシカ、アライグマを捕まえる。

これらの動物は農作物を食い荒らしたり、人家に住み着いて糞尿を撒き散らすなど、地元民たちの悩みのタネとなっている。

これを捕まえる、ということはとても喜ばれる。

その狩猟活動によって、その地域のマイナスを減らすことができる。

役に立つ人になれる。

多くの地元民は、農家の人だ。

彼らは罠を仕掛けたり、武器でトドメを刺すといった殺生が得意でない特性もある。

だからこそ需給のギャップが生まれて、価値が高くなるのだ。

なお、人々の役に立つという意味で仕事を探すならば、狩猟にこだわる必要性はない。

電化製品の修理でも、ネイルサロンでも何でもいい。

しかし需給のバランスを考えていくと、狩猟・イノシシ捕りのように需要が高いが、供給が少ない職業がなかなか見つからない。

ネイルサロンは供給は少ないかもしれないが需要も少ない。

地方にとって高確率で需給のバランスがタイトで価値が高いものは、やはり狩猟なのだ。

似たようなことでスズメバチの駆除もある。

このようにしてその地域社会・コミュニティ・村という人間の「群れ」において有用な存在になること。

これが地方移住では忘れずにいておきたい概念である。

人間関係のバランスシート

村という群れにとって有用な存在になったとしたら、大分有利な状態になる。

しかしそれでは終わらない。村の人々はその村のメンバーと人間関係のバランスシートを構築しようとしてくる。

具体的には農作物などのおすそ分けを持ってくる。

これに適切に対処するには、自分もまた農作物や加工品、狩猟で得た肉などを用意して返礼品としておこう。

もしくは何かしらの労務、例えば相手の家にアライグマがやってきて困っているのであればそれを捕まえるとか、である。

そうして人間関係のバランスシートを貸し借りしながら構築していく。

これは都会人が失ってしまった、人間という動物本来の習性と言える。

ライオンや熊のような筋力や牙と爪もなく、動物としては弱い、人間という生き物は群れを作ることによって生きながらえてきた。

この原初の本能が、人間関係のバランスシートを構築させる。

都会では人が溢れ、また隣人と協力することも少なくなっているから、人類が長くやってきた「群れ」の習性や文化薄まってきている。

都会暮らししかしてきていない人にとっては特に、大きなカルチャーショックとなる。

このことを本作で予習しておけるのは心構えという点で大きい。

紹介文でも述べたが、都会の文化が人類の歴史の中では特質なのだ。

商品作りのエッセンス

聖帝サウザー流では最も大切なこととして「自分の商品を作って、それを売れ」という奥義がある。

資本主義経済において労働力つまり自分の時間を切り売りするのではなく、商品をお金と交換していけという奥義である。

これを聞いて「よし!自分の商品を作って売ろう!」と思ったとしても次の瞬間には
「あれ?でも商品ってどう作ればいいんだ?」と思うはずだ。

商品を作るといっても、作るだけではだめで、それが売れなければ意味がない。

お金を出してでも買いたいという人がいるような商品でなければならない。

つまり「売れる商品」を作らなければならないのだが、これを考えると中々に難しい。

パッと思いつくようなもの、は難しい。

例えば手作りでアクセサリーを作って、それをネットで売る…など、可能性はゼロではないがよほどのモノを作れなければ成立しない。

それは競合他社が立派な企業たちだからである。

アクセサリーなどは世界中のハイブランドはもちろん、手の届きやすい価格で素晴らしいクオリティのものを売っているメーカーがこの世の中にはたくさんある。

そういったものは既にコモディティ化している。

そう考えると、一般人がパッと思いつく商品の中で売れそうなものというのは、あまり無いのだ。

では商品作りはあきらめるしかないのか?といえばそうではなく、重大なヒントが本作で登場する。

それは自分が欲しい物を商品にすることだ。

自分が欲しいと思ったこと、もの。

それを自作して形にして、同じく困っている同志に売る。

もちろん探して探して、人に聞いたりして、それでもどうしても見つからないものである必要はある。

もしくは、既に存在していてもすごく高価だったり、供給が追いついていなくて待ちが長いといった種類のものだ。

本作の場合はそれが「箱罠」や「電気止め刺し機」だった。

もちろんこれらは従来からあった商品ではあるが、高価だった。

そして太田先生の画期的なところは、これらの使い方の紹介や宣伝を、YouTubeで行ったところだ。

もちろん狩猟系ユーチューバーは前から居たが、それを法人が使い方講座や商品説明として活用したのが、狩猟の業界においては斬新だったのだ。

指名買いを得る

箱罠や、その他の道具は、ネットで探せば安く見つかる。

実際、太田先生もこの手の安売り業者には困っておられるようであるが、実際に狩猟に身を投じればわかることがあるという。

それは「安い店の罠はワイヤーが頼りない」ということだ。

この手の安売り店は、罠を「売る」ことは得意だ。

大資本ゆえに大ロットで購入するから、安く売れる。

しかし彼らはその本質が「商人」であり「猟師」ではないのだ。

そのため商人は当然「ワイヤーが頼りない」とは感じないのである。実働していないのだから当然だ。

また本作では副題の通り、イノシシやアライグマを捕獲して現金収入を得る方法についても詳しく解説されているし、狩猟それ自体に興味のある人には入門としても適している。

紹介文 担当しました

Vol.2、3、4、5、6の紹介文を担当させていただき、執筆した。

2〜3は田舎暮らしのリアルについて、都市生活の特殊性をふまえて考察した。

4では猟師というワイルドカードの強さについて。

5では珍しく小説風の書き出しで、太田さんの半生をご紹介。

6では本作のコアテーマである「商品づくり」について語った。

下記リンクはVol.2なので紹介文、読んでいただけたら幸いです。

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