社会の難易度アップ

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日記

過去最高の原料費

昨年から続く原料費の高騰はいよいよ極まって、歴代最高の値となった。

あの「オイルショック」をも凌ぐ水準である。

2022年、Q2の国産ナフサ86,100円/KL、このレベルまでの値上げも大方決着した。

今この10月、化学品は過去最高の単価となった。

業界では、消費者物価指数と企業物価指数の乖離が激しいということで、大企業も赤字に転落した。

原料は容赦なく上がるけれど、その値上がりを転嫁しきれずに赤字になっている。

今年の春から、食品を中心に値上げラッシュと騒がれているが、メーカーや商社で営業や調達・購買をしている人ならばわかる。

10%じゃ全然足りない、と。

そのため、この秋に第二次値上げするメーカーが多いが、これでもまだ足りないだろう。

そして12月末や3月末の決算が悲惨な数字になるメーカーが多数出ると思われる。

値上げできない=供給過多

値上げができない会社が多いのは、競争が激しいから。

供給過多で、余っているから、シェア争いのために値段競争を強いられる。

値上げしたら、シェアをとられてしまう、という種類の商材である。

そのため、値上げもできない。

そして安く売るためには、「効率的な大量生産」という手段が取られた。伴って材料も大量に買う。

そのためにディスカウントが効く…という方式で市場には安価な大量生産品が溢れていた。

これは原材料が豊富にあって、安くても売り捌きたいという川上のメーカーの思惑があったので成立していた。

しかし今や川上では脱炭素の動きで産油量が絞られ、貿易もコストアップで以前ほど美味しくない。

加えてこの円安(145円!)。

川上メーカーも続々と不採算事業からの撤退を表明して、供給量のパイは減っている。

この動きを見ていると、もはや以前のような大量生産で安くするスタイルは成り立たないことがわかる。

仮に円安が和らいだとしても、モノが少ないという事実は変わらない。

SDGsや脱炭素やっぱりナシで!と世界中が意見を変えれば元に戻るかもしれないが、そうはいかないだろう。

化学産業は大量のエネルギーを使うから、電気代も上がっている今、製造コストのベースアップも避けられない。人件費の上昇もある。

物の値段が一皮剥ける

何が言いたいかといえば、世界は一皮剥ける時期に差し掛かったということだ。

2019年までのスタイルは、前提条件(資源ジャブジャブ)が崩れたため、もう維持できない。

その頃のスタンダードはもう通用しない。

運送業者の連続稼働時間の制限が法令化されて物流費もアップした。

ここから一気に、モノの値段が二段階ほど上がる。脱皮をするように、上がる。

新たな原材料費をもとに、新たな値段が決められる。

その昔、昭和の時代、ラーメンは一杯500円だったという。

それが平成には700〜800円となり、令和4年の今では「1,000円の壁」に突き当たっていると聞く。

原料費は上がっているけれど、ラーメン一杯1,000円の壁というものが存在し、これにラーメン屋さんは苦しんでいるという。

このラーメンの相場が950→1,200円に上がるところまでが苦しく、それがまさに今だ。

ラーメンに限らず、コモディティ品は皆同じだ。

この過程で、厳しい淘汰圧がかかる。

値上げしたとしても価値が認められて買われ続けるメーカーと、そうでないメーカーが出始める。

ここで競争力のない会社が淘汰され、供給量が減って、選択肢が減ったところでようやく生き残った会社が値上げができる。

こうしてラーメンの例で言えば一杯1,200円を達成できる。

つまりどこかが潰れたり撤退してくれないと、この状況は変わらないのである。

それはやはり、供給過多で値崩れしているからだ。

労働市場もシビアに

そして労働者の側もシビアになってきている。雇ってもらう、雇い続けてもらうハードルが以前より上がってしまってきている。

私のお取引先様、大企業各社もリストラを始めている。

リストラで済めばまだいいが、存続が危ぶまれる会社もある。

そういえば先日も、とある材料メーカーが突如倒産して代替材料の告知で大変だった。

原材料が上がり続ける中、値上げを徹底できず、結果として資金ショートしてしまったらしい。

また倒産ではないが大企業が事業部を切り離して売却しちゃうということも起き始めた。

誰もが知るあの大企業が、そんなことをし始めている。

もし自分がこのような憂き目に遭ったら、続けるか辞めるか選ばなくてはならなくなる。

続けるにしても待遇はいつか下がる。

そもそも儲からない事業部だから切り離されたのであり、それ相応の待遇となっていくであろう。

そうして労働市場マーケットにポンと放り出された時に、求められるレベルはだいぶ上がっている…というのが今なのだ。

戦功認められ前線へ

私の勤務先においても、社員の選抜が厳しくなってきていると感じる。

昨年からの4度の値上げ大戦。

これらの集大成が、集計されつつある。

4度の値上げがどれだけできたか、利益率が2019年と比較して何%なのか、が露骨に数字となってしまった。

ここに営業マンの手腕の差がハッキリ出てしまった。

私はこれまで、「化学メーカーは毎月勝手に売れるからラク!サボり放題!」と主張してきた。

しかしこれは、「儲かっている」という前提があるから許されることであり、儲からなくなってきたら厳しくなるのは致し方ないことだ。

そこで普段戦い慣れてない人々を値上げ大戦に投入した結果、達成率という形で実力差が露骨に出てしまった。

私ヤコバシはーー

正直、値上げを本気でやった。

残業して資料を作り、大口顧客には直接訪問を何度もして、難しい値上げを押し通した。

結果、収益性の高いユーザー上位は私の担当先ばかりとなり、評価を受けたのだった。

私はさらなる前線に送り込まれることになった。

自虐風自慢になってしまったけれど、こうして労働者の中でも競争があるということが言いたかった。

フリーライダーはもう厳しい

聖帝流や、イケててハヤい尊師流においては

「労働者の身分でガチるのは損!気力体力を温存して副業せよ」

という教えがあった。

しかしこれは社会全体がまぁまぁ豊かで、窓際族を多く抱えても何とかなった時代の戦略だ。

最小限の努力で一丁前の給与を得ようというのは、いわゆるフリーライダーである。当時の時代の「歪み」をうまく捉えた手法だったと言える。

しかし今のこの厳しい環境でそれをやったら、勤務先での椅子が無くなってしまう。

解雇規制があったとしても、会社は異動をさせて雇用契約を変更、給与を変更するくらいは違法でない範囲でできる。

いわゆる「追い出し部屋」や望まぬ地方転勤や倉庫番に配置換えもできる。

某損保会社のように、介護の子会社を作って出向させることだってできる。

もちろんこれらの行為は、証拠を集めて訴えれば勝てることもある。

しかしその審議には時間がかかるし、仮に勝っても居心地は最悪になるだろう。

それでも良い、しがみつき続ける、フリーライダーに徹するんだという根性のある真の窓際サボリーマンをやれるなら話は別だが、常人には耐えられないのではないだろうか。

雇われ人をするのも難易度が上がってきてしまったなぁと思う。

自分の事業作り

今の世の中を見渡して思うのは、薄利多売系はもう難しいなということ。

また、安い物をうまく付加価値つけて…というのも、仕入れが安くないから成り立たなくなってきている。

さらに、モノ不足ということもあり、モノを使う商売はなかなか難しそうな局面だ。

となれば、モノをあまり使わず、薄利多売でない商品か…と考えると情報商材になっていってしまうのだが、究極はそういうことなんだよなと思う。

聖帝師匠は仰った。

「何かの扉が閉じたら、別の扉がどこかで開くのだ」と。

探索活動は続く…

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