営業タイプ 5分類

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営業テクニック

自分の経験から営業という職種を5種類に分けてみた。一口に「営業職」といっても、複数のタイプがある。結論から言うと「売り子」はキツい営業だ。変更するか、進化をしよう。

売り子

売り子という単語は、野球場でビールを売っている売り子さんのイメージがあると思う。新規開拓を続けるタイプの商品の営業職は、本質的にはこれに似ている。自分のエリア、何百何千というお客さん候補がいる中から、わずか数人がビールを買ってくれる。売店で売るのとは違い、ビールいかがですかーと呼びかけて歩き回らなくてはならない営業職だ。

僕は新卒で入ったブラック企業では、このタイプの営業職を体験した。数を打つタイプの営業スタイルだったので、確率論的にいつかはヒットする。が、営業マン個人が負担する労力が半端ではない。また、毎月1日には営業成績がリセットされるのも特徴だ。この心理的な負担を軽減すべく、前月から来月分を仕込むところはビールの売り子とは違うが、ただ契約の日付をずらすだけなので、やはり本質的には売り子である。

会社に余裕がない場合、ひたすらにこの売り子の尻を叩く。売り子はさらに必死になって営業するが、それが逆効果になることも多い。冷静になり、この仕事はただの売り子じゃないか?と思ったら辞めるのも手だ。なぜなら、売りに行かないと売れないような商品・会社だからだ。それとは反対の会社が次項の「店番」だ。

店番

儲かっている会社の営業職は店番だ。商品力やブランド力、広告力がある会社、もしくは独占的、寡占的な商品を扱っている場合には、営業職は店番になる。というか会社からは店番をちゃんとやることを期待されている。こういう会社は、顧客からの要望にきちんと応え、クレームを出さないことが最優先だ。なぜなら勝手に商品が売れるから。

売り子とは違い、こちらから打って出る必要がない商売のスタイルなので、お客を待ち構えて、しっかり対応して満足してもらってリピーターになってもらうことが最大のポイントだ。どっしり構えて、既存客と問い合わせ・苦情にしっかり対応する。これを会社は求めている。

こういう会社なのに新規開拓のために外出ばかりしてしまう営業マンはどうだろうか。一見、精力的に見えるが、実はこの「店番」という役割を全うできていない。その売り子的な行動、会社が真に欲していることだろうか?

会社があなたに「売り子」を求めているのか「店番」を求めているのか、しっかりと見極めるのは大切だ。そうでないと、せっかくの頑張りがマイナス評価になってしまう可能性もある。

渉外

店番が完全受け身な営業職なのに対し、一歩進んだタイプがこの渉外だ。読んで字のごとく、外部と交渉する役割である。売り子と違うのは、「買って!」と言わなくても良い点だ。売り子は、需要が薄いところへ赴いて、需要を喚起するのが主の目的となるが、渉外は既に需要がある。既にある需要に対して、交渉を行うのだ。店番と違うのは、営業マンにソリューション(解決法)が求められている点だ。

店番は、自分の意志をあまり持たない、というか持ってはいけないし、持つ必要もない。渉外は、社内の調整や、お客との折衝など、内と外のバランスを取るような仕事をする。社内の事情だけを優先できるのは圧倒的な強者のみであり、大半の会社は競合と戦っている。その戦いの中では、他社よりも優れた性能、コスト、サービスが求められるが、全てを完璧にすることは難しい。また、顧客からの要望を完璧に満たすことも難しい。どちらの言い分も正論だろう。だが、それでは何も前進しないから、渉外の出番となる。

自社の事情とお客の要望、それらをどっちも聞いて、その上で落とし所を決めるのが渉外の仕事だ。お客に対しては「自社がここまではできるけど、その先はできない」と答え、自社内には「ここまでは頑張れ、それ以上は断ってくる」と指示をする。そのバランス感覚が重要なタイプの仕事だ。客に傾きすぎると社内が追いつかないし、社内の意見ばかり聞いていても成約はしない。

ちなみに僕はこの段階にある。化学メーカーでこのような営業活動をしている。

大使

渉外の進歩系が大使だ。大使は、会社の顔としてお客さんに接する。大使の段階では、既に大きな取引があり、自社の幹部同士のつながりを深めるフェーズにある。会社というものも結局は信頼関係で成り立っている。そしてその信頼の中身とは、エラい人同士がツウツウになっている状態のことだ。エラい人同士というのがポイントだ。エラい人とは決裁権を持つ人のことである。

例えば、営業本部長ならば値下げの決裁ができる。技術本部長ならば原料の採用をする決裁権がある。決裁権がない人、つまり普通の営業マン〜課長クラスは、決裁権者にうまく説明して、決裁つまり許可をもらわなければならない。自分で意思決定ができない。これは仕方のないことだ。

しかし、決裁権者同士が直接に対話ができる環境が整えば、即時に決定ができることが多い。当然、職務の範囲を超えているものは社長決裁までいくだろうが、権限を委譲されている範囲までは決裁権があるから、話が早い。

僕が思うに、部長〜取締役クラスになるとこの大使的な営業になる。親善大使としても振舞う必要があり、接待も増える。これはエラい人たち同士の面通しと親善を深める意味で重要な仕事なのだ。エラい人には重要な情報も集まる。それらを直接やりとりができるというのが、会社同士の信頼となる。

宣教師

これまで、店番→渉外→大使というラインの営業職の進化を説明した。順番に新人→中堅→役員というステージで進化する。

では、最初に紹介した売り子は進化しないのか?いやする。それがこの宣教師だ。売り子は、ターゲットとなるお客さんがある程度決まっている。今ある需要に対して、売り込みに行くのが売り子だ。野球場に来る人ならば、ビールを欲するであろうということで売り子が派遣される。そして、長年の経験の通りに売れていく。ある程度の需要が見込めそうなところへ売りにいくのが売り子だ。

これに対して宣教師は今はない需要を作り出す営業マンだ。これまではなかった需要を新たに創造し、異次元の成果を出せるのがこの宣教師だ。売り子というのは、競合他社も同じことを考えるから、お客さんの奪い合いになる。売り子の営業数値は、予想の範囲内におさまる。

これに対して宣教師は、他社が目をつけていない客層にアプローチする。商品を提案する。たとえば、一人も靴を履いていない国へ行って靴を営業し、売る。他社はどうせ売れるわけがないと諦めた市場だ。新しい常識を持ち込んだといってもいい。

約10年前、日本で同じようなことがあった。iPhoneの登場だ。それまで、日本国民はみんなガラケーを使っていた。最初はiPhoneなんかすぐに廃れると皆いったものだ。それが今やどうだろうか、ガラケーを使っている人が少数派になった。これが宣教師の仕事だ。このiPhoneの例では、ソフトバンクが宣教師だった。

この宣教師型の営業は、当たるととにかく大きい。そして先行者利益を得ることができて大きなシェアを築くことができる。僕は今、この宣教師型の営業にチャレンジしている。

これまで売ってきたスタイル、客先というのは、もう先が見える。粘り強く続けていれば、いつかは売れる。これは時間の問題だ。だがその売り上げは、だいたいの予想がつく。ひとつ何円が、何個売れると、ある程度読めるだろう。そういうものも確かに必要ではあるのだが、それだけでは営業はつまらなくなってしまうし、営業マンとしての成長もない。

今ある商売の延長線上にある未来は、正直、誰がやってもできる。売り子も店番も渉外も同じだ。誰でもできないのは、宣教師型だ。今はない商売、お客さん、業界、売り方、商品。これを企画して、実行ができたなら多大なリターンと成功経験が得られる。これは営業マンとして最高峰の能力といえる。

この宣教師は、売り子の進化系だと述べたが、渉外とエッセンスも必要だ。自社の都合だけでは新たな開発はできないし、顧客の要望だけでは無理なことばかりだからだ。渉外ができるようになった後に、売り子スピリットがあると至る境地だと思う。

自社はここまでできる。顧客はここまで欲している。この部分は過剰だから削れる、この部分は多少無理してでも満たさなきゃな、と考えていく中で業界の常識を乗り越えた製品サービスが生まれる。そしてこれを、未開の地へ、手付かずの業界・客層へ売っていく。これが宣教師だ。

建築現場でしか使われていなかった1個100円のマスキングテープを、単色からカラフル絵柄にしてキャラクターものにし、1個500円で売った人。これが宣教師的な営業マンだ。

「売り子」かもしれないあなたへ

冒頭でも書いたが「売り子」は正直きつい。その理由を分析した。僕が書いた転職に関するサイトの記事を紹介する。

「営業 きつい つらい」の真実(リンク)

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