オロゴンさん編レビュー
聖帝白熱教室 オロゴンさん編のレビューをしていく。
高学歴有名銀行勤務のオロゴンさんが東京で力尽き、不動産賃貸業で人生を再生した話
オロゴンさんについて
オロゴンさんは現在、不動産業や飲食関連のビジネスをされている事業家で、Voicyパーソナリティ(「サイフの穴をふさぐラジオ」)、
また著書(『サイフの穴をふさぐには? 学校も会社も教えてくれない税とお金と社会の真実 』)も出版されているクリエイターでもある。
そのキャリアの特徴は、エリート進学校→銀行マンという、いわゆる高給勤め人の典型といえるものだった。
この高給勤め人ルートはある意味で完成したレールといえて、そのレールで定年まで勤め上げるという人もまた多い。
しかしながらそのルートは、外から見るほどおいしいものではなかった…ということが本編では語られ、そしてそこからの脱出記が本作であると私は感じた。
誰にオススメか
本作は大きく3つのテーマから構成されていると思う。
1、高給勤め人のリアル
2、不動産事業について(築古戸建)
3、リアルビジネスについて(飲食系)
2と3はノウハウ系であるから、このテーマに関心がある人はもちろん対象となる。
オロゴンさんの場合、銀行員という職業からの不動産・飲食などの自営へのシフトということで、似た境遇の人は多いと思われる。
また聖帝も近似の職業経験から、経験談を語ってくれる。これもホワイトカラー勤め人からの転生の事例として勉強になる。
そしてメインテーマともいえる1の「高給勤め人のリアル」だが、私が聴いた感じでは下記の人にぜひオススメしたい。
- 激務高給の勤め人(30代前半まで)
- 高偏差値の文系大学生
激務高給の人へ
まず激務高給の人にオススメしたいのは、その生き方はある意味で納得できてしまうところだ。
激務で、自分の時間ないし睡眠時間も少ないけど、年収たくさんもらってるし仕方ないか、というパターンだ。
これは振り込まれる給与の額が大きいので幻惑されやすいが、時給換算とその他人生のステージで失っているものを考えるとトータルでマイナスである。
「その他 失っているもの」とは、具体的には健康、家族関係、交友関係、心理的健全さ、人格など、お金では測れないしお金で買うこともできないもの、いわゆる「無形資産」だ。
激務高給は時間と労力のみならずこれらの無形資産の多くを失わせる。
このことに気がつくのは、失ってからである。
これをオロゴンさんは自身の実体験と、周りにいた同僚達がおかしくなっていく様の事例を交えてお話ししてくれる。
聖帝もその最初の職場においての凄惨な生活を語ってくれる。
そして本作は、それを「異常である」と断言する。
今現在、激務高給勤め人をしていて、先述のように高い年収によって幻惑され納得ーーいや、諦観している人にこそ本作は聴いてほしい。
「アレ?この働き方って異常なのか?」と、気がつくトリガーにしてほしい。
高偏差値の文系大学生へ
私もそうだったのだが、特に新卒で入社した企業ではその会社独自の教育が行われる。
悪く言えば洗脳である。
その洗脳がバッチリとキマっていると、外野、特にブラック経験がないであろう人々からの声は届かない。
例えば一般事務とアルバイトしかしたことがない母親の言葉など届かないのだ。
そのため、その強固な洗脳を解除するには実際にやった人の言葉が必要だ。そうでないと説得力がない。
そういう意味では、オロゴンさんと聖帝の体験談というのは説得力がある。
なぜならこの両人が勤め人をしていた時代というのは、昭和の根性論に平成不況が組み合わさり、かつ労働人口は今よりも多かった時代だったからだ。
「お前の代わりはいくらでもいる」とリアルに言われてしまう時代であった。
現在、2020年代の令和の世では人手不足と働き方改革が進んでいるため労働者も権利を主張しやすくなっている。
しかし両人が勤め人をしていた平成末期の2010年代というのはその直前、ヒドい働き方の最後の徒花ともいえる時期だった。
このように書くと、今ではそういった凄惨な働き方はもう無くなったのかと早合点してしまうかもしれない。
確かに表面上、制度上は働き方改革は進んでいるのかもしれない。
しかしながらそこに住まう人々は、先述のような凄惨な時代を経験した人々であるし、その精神性はその時から大きくは変わっていないであろうと予測される。
それが企業文化であり、洗脳だからだ。
そのため表には出てこないまでも、厳しい働き方を強制する企業はまだあるだろう。
そのため「高偏差値の文系大学生」の人にも本作はオススメしたい。
高偏差値の文系大学生というのは、その多くが金融関係へ進みがちだ。
私もそういう環境にいたのでわかる。
もちろん大手メーカーなども就職先として無くはないが、メーカーは採用人数が少なめだ。
対して金融関係は採用人数が多いのと、給与水準が高めなので高学歴の文系大学生の多くはそっち系に進む可能性が高いのだ。
なぜメーカーは採用少なく、金融は多いのかーーそれは仕事の内容、仕事の質から来る離職率で想像ができる。
金融というのは、非常にマンパワーに依存する業界だ。
メーカーのように「モノ」が勝負をしない。
営業マンや担当者という「ヒト」がそのまま価値になるし、勝負になる。
だからその矢面に立つ人はストレスが溜まる。マンパワー依存だからだ。
結果、数年で耐えきれなくなり退職となり、新たな新卒が補充されていくのだ。
そのようなことが本作では聴けるので、就職先を明確にできていないであろう高学歴の文系大学生にはぜひ聴いてほしい。
その他の人々は?
ちなみに、今回オススメした
- 激務高給勤め人
- 高学歴文系大学生
以外の人は当てはまらないかを考えた。
激務高給でない、ということは
- 激務薄給
- マッタリ薄給
- マッタリ高給
のどれかとなる。
マッタリ高給は辞める理由があまりない。
マッタリ薄給も、ある意味で納得はできるし、激務高給のように副次的に家族関係や健康を失うことも少ない。
激務薄給はただのブラック企業なので転職しよう。
その転職先は、化学メーカーをお勧めする。そのことはこの電子書籍で述べたのでご興味ある方はどうぞ。
本作は、激務高給の現役勤め人と、その予備軍である高偏差値文系大学生に最も有効と思う。
紹介文執筆しました
本作の紹介文をVol.2〜6にて担当させていただいた。
本作を聴き込み、紹介文を執筆していくにあたって、本作は誰に聞いてほしいのか、有益なのかを考えながら執筆した。
結果は、先述の通り激務高給のいわゆるエリート(?)勤め人と、その道に進む可能性が高い予備軍である高偏差値の文系大学生が最適であろうと思った。
やはり激務高給は、高給ゆえに納得しがちだ。
世間の平均の給与金額の倍以上と考えると、貰っているほうだと、多少の優越感とともに満足してしまいがちだ。
しかしそこには、カネで測れない価値、無形資産を失うという形でロスが大きいので、収支は実はマイナスなのである。
オロゴンさんは様々な偶然が重なったので脱出ができたと本作では語られるが、その要素がひとつでも欠けていたら、今なお激務高給を続けて疲弊…いやもっと酷いことになっていたかもしれない。
ちなみにジャケ絵も担当させていただいた。
ジャケ絵というものは奥が深い。
世の中の映画漫画のジャケ絵をあらためて見てみるとものすごくレベルが高いことに気がつく。
配置や色合いでテーマが伝わるかどうか決まるし、そもそも目を引いて興味を持ってもらえるようなモノが必要だ。
ジャケ絵道(どう)とも言える研究が始まった。
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