2回目の夢(不動産編)潰えた経緯

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雇われ人卒業

前回の記事までで、僕が不動産投資に興味を持ったきっかけについてお話しした。

不動産は「高価・レンタル」という性質を持ち、かつお客様にとっては必須の支出のひとつであるから強いと述べた。

ボロ戸建て投資とは

僕は聖帝サウザー師匠に出会うまで、不動産とはアパート・マンションもしくは商業ビル・オフィスビルの経営だと思っていた。

そうなると数千万〜数億規模のお金が必要なので、まず手を出すのが難しいと思っていた。

そこに聖帝サウザー師匠からもたらされた情報が「戸建て大家」であった。

戸建て大家は、一戸建てを貸す大家さんであるが、普通に生きているとなかなか、その発想に至ることは少ないかと思う。

なぜなら僕の実家もそうだが、一軒家=自分の持ち家という概念が強いし、実際、一軒家を所有している人は多いけれども貸し家(一軒家)に住んでいるという事例はほとんど聞かない(あまり言わないだけなのかもしれないが)。

そして聖帝サウザー師匠からもたらされた情報は、築古の住居を土地値以下で買うという手法であった。

簡単に説明すると、売り土地として販売している物件のうち、既存の建物(古屋)が残っている状態のものを選ぶ。

そしてその古屋を解体することを代行・請け負うから、その分の代金を値引きして欲しいとオファーし、安く購入する。

土地のオーナーとしては、自前で業者を手配し古屋解体の費用がかかってから販売するのも、解体を委ねる代わりに値引きするのも、最終的な手残りに大きな差はない。

この性質を利用して古家付きの土地を安く仕入れて、そしてその古屋をリフォームして賃貸に出す。

そのリフォームも可能な限り自分で行い(DIY)、費用を抑えていく。

これが今、YouTubeでも盛んに公開されている「ボロ戸建て投資」と呼ばれるものである。

参入ハードルがやや低い…?

このボロ戸建て投資という手法は、参入に必要な金額が数百万円規模であるために、銀行融資に頼らずとも現金のみで決済可能である点が最大のメリットと言えよう

(そもそも戸建てに銀行融資は付かないのだけれども※住宅ローン投資法はNG)。

アパート・マンションは、雇われ人卒業を目指しているような人にとっては、銀行融資無しでは手が出ない。

そこに来るとこのボロ戸建て投資は、貯金を頑張れば、全て現金で賄うことも無理ではなさそうに思える。

この参入ハードルの低さが、僕をはじめとした多くの人々の希望になったことは間違いない。

夢のまた夢であった、不動産経営。

すなわち安定的な収入源の確保。

うまくやれば、参入できるかもしれない。

事実、ツイッターを見回せばそのようにしてDIYで物件を再生し生計を立てている人も多いし、その実態をYouTubeで公開、語っている人も増えた。

ますますリアリティによる希望を感じるようになったのがここ3年くらいの出来事であろう。

まずは貯金だ!

こうして僕も不動産投資に参入せんと種銭を貯めることを始めた。

当時2018年ごろ、20代後半の僕は転職して、結婚して引越&新婚旅行した直後だったので100万円くらいしか貯金はなかったと記憶している。

そんな状態かつ僕の住まいは首都圏なので、すぐに不動産に手を出すことは難しかった。

当時、アットホーム等を見てみても、埼玉の北部や千葉の東側でようやく350〜400万円ほどの物件が稀にある程度だった。

まずはこれくらいは貯めないと始まらないなと思った。

しかも物件を取得したとしても、リフォームする費用がかかる。

もちろん修繕の程度と、どこまでやるかに左右されるものではあるが100万は用意した方が良いのではないかと、特に根拠はないが目標設定した。

また、有り金を全部突っ込んで生活費が無くなるのも危ないので、生活防衛費として50万、少なくとも合計500万円まで貯めようと思った。そこからが勝負だと考えた。

色々と計算すると、我が家は妻の収入も合わせると年間約200万円ほど貯金できそうだった。

つまり丸2年貯金をすれば、500万円に届く計算となる。

2018年秋ごろのことであった。

勉強する

聖帝サウザー師匠も忠告してくれていたが、不動産事業というのは失敗すると多額の借金が余裕でできてしまうので、勉強が大切となる。

この界隈でよく言われるのは「不動産関連の本を100冊読め」。

100冊…!と慄くが、しかしそれを怠った者が事故るのである。

こうして僕は不動産投資関連の書籍を読み漁り始めた。

まずは、20冊ほど読んだ。

その間、聖帝サウザー師匠制作の不動産投資関連のオーディオ(白熱教室)も聴いたり、不動産ポータルサイトのコラムも読んだり、ツイッターで界隈の人々をフォローしたり、ウェビナーもいくつか聴講した。

多くの情報を手に入れていく中で、不動産投資には様々な手法・流派があり、いわゆる「ボロ戸建て」は入門に適していて、かつ大事故・大敗のリスクが割と少ない流派であることもわかった。

そうして貯金スタートして約2年が経った2020年、予定通り貯金は500万円を超えていた。

ようやく準備が整った。

実現可能性の検討

本格的に物件を探し始めた僕だが、やはり関東近郊に格安(300万以下)の物件は無い。

まず地価が高いからだ。

業界では「国道16号線の内側」には資産価値があり流動性もあるが、その外側は厳しいとされている。

この説は本当にその通りで、16号線どころか北関東道(高速道路)の外側、しかも鉄道が通ってない僻地くらいまで行かないと300万円台の物件は出てこない。

関東の地理感がない人にお伝えするならば、これらの地帯というのはもう「ザ・田んぼ」な地域であり、その辺から都内に通うのは事実上不可能なレベルである(片道2時間クラス:できなくはないが、周りから気の毒に思われるレベル)。

しかもそんな僻地でさえ、300万円台の物件がネットに掲載されると即蒸発してしまう。

これは単に、人口が多いために不動産投資に関心を持つ人の絶対数が多いからなのか…

茨城県…?

勉強を進めていくうちに、関東圏において残された地は茨城県であるとの情報を得た。

特に県庁所在地である水戸は、人口が(割と)多いのに対し地価が低く、確かに物件購入の敷居は低そうだった。

そこで実地調査を兼ねて車で赴いてみたのだが…いかんせん遠かった。

僕が割と東京に近いあたりに住んでいるからなのだがーー水戸は、走ってみるとかなり遠い。

もし仮に、物件を取得できたとしてもこの往復をしてDIYするのは事実上不可能だと思った。高速代もなかなか高額だ。

これは情報収集をしていく中で学んだのだが、ボロ戸建てというものは、もはや農作物のようなもので、その「産地」にいかないと手に入らない。

「産地」とは文字通り地場産業であり、無いところには無いし、有るところには有るのだ。

つまり人口減で空き家が発生しつつあり地価が低い、けれども過疎地ではないという条件が揃わないと、投資に値する物件は発生しない。

「不動産流しそうめん」

さらに勉強を進めていくと、最近のボロ戸建て投資の実態が見えてきた。

加藤ひろゆき先生が活動した2000年代から、目端のきく人々は不動産投資に参入し今ではメガ大家となっている。

インターネット全盛の2010年代に、我らが聖帝師匠はじめとして今、不動産クラスタで目立っている人々が参入して成功した。

そして今、その2010年代にアガった人達の発信を受けて参入を試みる僕のような人々が居る。

この歴史によって、この界隈は「不動産流しそうめん」の状況になっていると言われる。

つまり不動産とは、その物件を売ろうと考えている売主が源流にいて、そこから情報が湧き出る。

それを売主から直接聞ける人が最上流。

それが投資家の場合は個人間で売買が成立して、市場には出ない。

次にその源流から話を振られたのが業者の場合は、クローズド情報として有力な投資家へ話がもたらされる。

有力な投資家とは、十分な資金や融資を受けられる実績と信用があり、かつ面倒くさくない良客だ。

ここで買われなかった物件が、初めて市場に出回る。

不動産屋さんの店舗に貼り出されるか、インターネットに掲載されるか。

そしてこの市場に出回った物件は、一般の投資家が検討する。

よく言われる「巡回」をインターネット上でこまめに行い、良い物件を見つけたら即、問い合わせするのだ。

なおこの作業は専業大家さんに分がある。

時間的制約が少ない専業大家さんが日中に巡回をする。

そして我々、不動産参入ワナビーが雇われ仕事を終えてから夜に巡回をする…

この構造を「流しそうめん」と形容した人は素晴らしい。まさにその通りだ。

チャンスは平等ではないのだ。

詳細は語れないが、不動産ウェビナーにおいては物件を手放すかどうか迷っている状態の人をいかに見つけて、最上流で確保するか、のノウハウが語られたこともある。

この手法をやっている先輩投資家がいる限り、まず勝てないなと思った。

つまり不動産界隈は相当なレベルまで競争が激化していて、かつてのようなメリットは少なくなっているのだと、そう理解することができた。

先輩のガチ勢が数多く居る界隈なのだと。

酸っぱい葡萄

また完全に「酸っぱい葡萄」状態だがボロ戸建て投資は、夢のような投資でもないことが情報収集により判明した。

先述のようにボロ物件を安価に取得することは難しいだけでなく、取得した後も試練が続く。

まずボロいため、躯体や屋根、床下、水回りなどの住居の機能として大切な部分が傷んでいて、修繕が必要なパターンが多いこと。

この躯体や設備に関わる修繕はDIYは難しく、かつ高額になりがちだ。

しかしながら修繕無しで貸すことは難しいものも多く、決して総額が安くならない。

また当初は大丈夫でも数年後に大きな故障が起きてその修繕に何十万、何百万もかかる事例もあると目にした。

コツコツ貯めたキャッシュフローが一気に吹き飛ぶ事例もある。

また入居者もなかなかハードモードだ。

まず築古の物件なので、家賃は取りたくても取れない。

結局、最低ラインに張り付くようだ。

そしてこのような物件には、外国人をはじめとしてなかなかの属性の人々がやってくるようで、まぁ…様々なトラブルや苦労があるという事例を多く見せてもらった。

つまりこのボロ戸建て投資は、約5万円前後のキャッシュフローに対して、大規模修繕リスクと、入居者トラブルリスクが高めの手法である。

正直全然ラクな事業ではない。

少なくとも、今これからの参入では。

…ということが先人たちの体験レポートにより明らかになった。

ウォール街の靴磨き少年

ウォール街の靴磨き少年の寓話が示す通りに、今やボロ戸建て投資というものはYouTubeで誰でも触れることができるレベルにまで広まった。

こうなってしまったら、もはやレッドオーシャン。

新規参入者に旨みはなく、そもそもその道のプロ、実績も信用も知見もある先輩投資家とガチンコでやり合っていく戦場なのだ。

これはまさに靴磨き少年が株式市場に参入するようなフェーズであろう。

また少し前に不動産界隈を賑やかにした、「高額不動産塾」も、もはや彼らがエグジッドを目指し始めたと言う指標に他ならない。

何でもそうだが、儲けていた人がそのノウハウを公開するときというのは、もはや効率が悪くなってしまった手法を、その手法ごと販売して売り逃げるというムーブなのである。

これらを総合して、僕が2018年に見たユメ「ボロ戸建て大家で卒業」は頓挫した。

新たな扉は…?

こうして不動産ルートでの雇われ人卒業は「僕にとって」現実的でないことがわかった。

ただし、これはあくまでも「僕にとって」難しいというだけで手法それ自体を否定するものではない。

不動産賃貸業というビジネスモデルの輝き自体は失われてはいない。

仮に僕が関東圏から引越しして、地価が安いボロ戸建ての産地近くに引越し、ゆるい仕事に就いたりもしくは専業となってやっていくなら、可能性はあるかもしれない。

ただそれは乾坤一擲すぎるし、仮にそこまで突っ込んでも…冷静に、勝算は薄くないか?と僕は思うのだ。

ではもう雇われ人卒業は不可能なのか?

諦めなくてはならないのか?

と考えたこともある。

しかし聖帝師匠は加藤ひろゆきさんからのインタビューオーディオにおいて、こう仰っていた。

「何かの扉が閉じれば、別の所で別の扉が開く。

ボロ戸建てはもう閉じてしまったが、他の扉が代わりに開いた」

と。

事実、聖帝師匠はこの2020-2021年ならではのご商売を発掘され、成果を上げておられる。

詳細はここでは明かせないのだが、そのモデルはさすがとしか言いようがない。

この事実は僕に勇気を与えてくれた。

あの聖帝師匠ですら、ボロ戸建て投資が効率的でないと分かったら転進するのだと。

そして良い商売を見つけて、自分の商品をそこに投入して収益をあげていくのだと。

どんな言葉よりも、発信よりも、その背中でお手本を見せていただいた。

そうして僕は、不動産に抱いていたユメを諦めたのであった。

続く次回の記事では、夢破れた僕がこれからどうしていくのか、一人語りしたい。

コメント

  1. 鴨川トモロン より:

    サウザー氏のコメントから。

    僕はサウザーさんも加藤さんもファンである。
    おもしろい発信だし、見聞きして読んで楽しんでいる。

    しかし、本当に彼らの資産形成過程を辿ってみると分かるはず。
    両人ともに、スタート時点で多額の家庭内レバレッジで引いている。
    サウザー氏はたしか親族物件と、親父物件(ブログ掲載の家賃から推測)
    加藤氏は母親から800万程度の融資。

    最初からふたりとも資産規模で800万以上の有利のスタートを切っている。
    今をときめくポール氏にしたって、初期に親父さんから数千マンの家庭内レバレッジを引いている。

    資産で殴り合うゲームから降りたのは間違いではない判断だと思う。
    もっと違う戦い方のスモールビジネスは沢山ある。
    ヤコバシ氏を応援したい。

    • ヤコバシ ヤコバシ より:

      鴨川トモロンさん
      コメントありがとうございます。
      そ、その件は…!
      さすが冷静なる読者様です。
      ただ、それ自体は悪いことではなく、ご自身の持っている手札を有効活用したまでのことなので、僕はとやかく言うつもりはありません。
      資本力は、スピードが速いか遅いか程度の違いかと思います。
      とはいえ、そのような背景があった上で、かつ今より競争の諸条件が緩かった時代でもあると思うので、それらの複合であのスピードなのかなとも思います。
      仰る通り、また違う形での戦い方をしていくつもりでおります。
      ありがとうございます!

  2. 東備大家 より:

    聖帝も発言されてるので分かっているとは思いますが、本読んでウェビナー見てネット検索して高いって言ってるぐらいでは何事も前に進みませんよ。

    住んでいる所から通える範囲で空き家がいくつあります?

    全部謄本上げてアタックしました?

    仲介業者さんには、勿論全てローラーかけてますよね?

    それぐらいを普通にやるのが事業なんですよ。

    ウェビナーで満足してないで、直接会いに行ってノウハウ聞いてたら、これぐらいの話は聞けてると思います。

    新しい事をお考えの様なので、そちらでも甘い考えは捨てて、精進していって下さい。

    コッソリと応援しております。

    • ヤコバシ ヤコバシ より:

      東備大家さん
      コメントありがとうございます。
      いえいえ、もう本当に仰る通りのことと思います。
      逆に言えば、それほどの努力が必要であり、競合の諸先輩方はそれらを標準とし戦っているということでもあります。
      弱気な意見で申し訳ないのですが、今から始める自分が、その諸先輩方とがっぷり四つに組んで渡り合っていけるのだろうか…と思ったのが今回の記事で述べたかったことでもあります。
      ただしご指摘の通り、このような苦境は他事業でも形を変えて、同じことと思います。
      励ましのお言葉、痛み入ります。
      ありがとうございます!