学歴はファストパス

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ライフハック

学生の頃、なぜ勉強しなければいけないのか、誰しも考えたことがあると思う。親や先生に聞いても「より良い就職をするため」「可能性を広げるため」と言われたものだ。「学生は勉強が仕事だから、つべこべ言わずに勉強しろ」と言われた人もいるだろう。

僕は大学生のとき塾講師のバイトをしていたが、生徒にその意義を明確に伝えられなかった。「まあテストでいい点取れば親も先生も黙るから、一緒に頑張ろうぜ」というスタンスで、テストで点を取れる方法を伝授する毎日だった。

それから10年。僕は社会人になり結婚もした中で、学歴って本当は、日本社会におけるファストパスだったんだと気がついた。その話をしようと思う。

ファストパスとは

ファストパスとはディズニーランドやシーにあるシステムで、前もって乗りたいアトラクションのファストパスを取得し、指定時間に行けばファストパス専用の列に並ぶことができて、割と早めにアトラクションに乗せてもらえるというチケットだ。僕は大学の卒業証書が、日本社会においてのファストパスチケットなのだと思った。

就職活動において

よく言われることだが就職活動には学歴フィルターというものがある。一定以上の学歴でなければ面接に呼んでもらえない、エントリーシートで落ちるというものだ。もっと露骨なのは会社説明会への参加にも学歴フィルターがあるとも言われている。

学歴で差別するなんてヒドイ!と言われるが、採用する側の立場になれば致し方ない事だ。面接する人員も時間も限られている中で、何万人もの応募がきたら、まず学歴でふるいにかける他ない。学歴で全てが決まるわけではないが、脳のスペックおよび努力が継続できるというサラリーマンに必要なスペックという面では、学歴はある程度有効な指標になる。

しかも民間企業はその名の通り民間なので、採用方針やルールを自由に決めても何ら違法性はない。特に就活生が殺到する、有名上場企業はこうでもしないと回らないのが実情だろう。ゆえにこういう有名上場企業に入りたいのならば、学歴というファストパスを持っていないと、列に並ぶことすらできないのだ。

人気のある上場企業ならMARCH以上で土俵に乗れるが、主戦場は早慶国公立だ。いわゆる買い手市場(採用する側が強い)では、ファストパスがあること前提で、そこからいかに面接で積み上げるかの勝負になる。

もし有名上場企業に絶対入りたい、良い待遇のサラリーマンが良いなと思う人は学歴は必須だ。

女性とその親に対して

僕の学歴は文系MARCHなのだが、今まで付き合ってきた女性たちは何となく、そこに安心を感じてくれていたように思う。こちら側からすると、学歴があるからといって安心されるのもちょっと違うんじゃないかと思うのだが、なんだか安心している雰囲気を感じていた。警戒心のオープンが早いと思う。

知り合ってまぁまぁ最初の方で学歴も聞かれていた記憶がある。そこで「XX大だよ」と答えると「頭いいんだね!」という子や、同等のレベルの大学の子なら共感し、早慶の子は「ふぅん、バカではないのね」という雰囲気を出していた。別に「ふぅん」と思われたことに腹を立てはしない。なぜなら足切りにはなっていないからだ。

これは僕の感想なのだが、女性はとても真面目だと思う。どんなにヤンキーぽい子でも根は真面目だ。特に生物として、動物としての最重要事項である生殖、そのパートナー選びに関しては本能レベルで真面目で真剣だ。それはもう、太古の時代に備わった本能なのだから抗えないことなのだ。

さらに、今現在の女性は親によって学歴ある男性を選べと小さい頃から刷り込まれているから、こういう反応になるのではないだろうか。そして様々な要因が複合して学歴が出来上がるから、女性にとっても学歴というのは男を推し量る上で有効な指標になる。要因の複合とは、両親の影響、家庭環境から始まり、経済状況、本人のアタマのスペック、将来的に稼げるかどうか、などをある程度、予測することができる。

女性は、自分の身体そして自分の時間という高い掛け金を男に賭けることになる。そんな大切なものを賭けならば、勝率が高い方にベットしようと試みる。これは生物として当たり前のことだ。絶対なんてものはないけれども、少しでも確率が良い方へ賭けたい気持ち。ゆえに高学歴の男は女子の心を開くのがちょっと早い。これはまさにファストパスだ。

ちなみに、関係が進展し、女性の両親に会う段階になれば、学歴と現在の職業は重要なポイントになる。女性の親も、自分の大切な娘を預けるとなれば、やはり確率の良い方が好ましいに決まっている。少なくとも、確率が悪いのは避けたいと思っているし、そのように娘を教育してきた親が多いだろう。その教育の柱が、現在の日本では学歴というものさしなのだ。

後述するが、あと30年もしたら、この学歴が持つ、女性とその親に対するファストパス効果は弱まっていくだろう。

損はしないライン

学歴は、上を見たらきりがない。MARCHの上には早慶が、早慶の上には旧帝大が。そして京大、東大。国内では東大がトップだけれども、世界的には東大でも霞む。ハーバード大まで行かなくてはならない。普通の高校生だったら、終わりがない。青春の全てを捧げても怪しい。むしろ海外の大学には日本式の受験勉強など通用しない、異種格闘技戦となる。ならば、最もコスパが良いのはどこなのか。

学歴においてコスパが良いとは、損をしないラインだと僕は思う。損をする、とは先述の通り、就職活動で不利になったり、女性からウケが良くないレベルだ。となると、やはりMARCHが難易度というコストを考えると、コスパが良いと言える。

女性方面だけなら日東駒専でも土俵に乗るが、就職がちょっと不利になってくる。偏差値だけでいうと法政大も微妙だが法政大には歴史と、東京六大学という属性があるから、なんやかんやで古豪という認識になる。もちろん明治、立教などはMARCH上位とも呼ばれるし知名度もあるから就職活動においても十分と言える、もちろん、女性やその親からのウケも良い。その割には学生数が多いから間口が広く、センター試験併用受験などもあるから入りやすい。受験勉強の強度としても、センターで8割取れたら入れるようなレベルだから、真面目に効率よく勉強すればどこかは入れる。センター試験利用がポイントで、私大のオリジナル試験よりも博打が少ないから安定性もある。センターは奇をてらった問題が出ないから、センターでしっかり点を取る勉強をすれば入学できる可能性は上がる。

大学の価値が薄まった

僕が思うに、学歴の意味が薄まるにはあと20年はかかるだろう。なぜなら、今、企業の最前線で働いている人つまり選ぶ側が学歴主義者だからだ。今20代の人達が採用の立場になるまで、これは変わらないだろう。

天動説が滅びたのは、天動説を支持する人がみんな死んだからだ。学歴主義も同じだ。信じている人が全滅しない限り、もしくは権力ある立場から立ち退かない限り終わらない。学歴が効力を発揮するのは、今30歳の僕くらいまでだろう。

この年代くらいから、学歴と能力は一致しなくなる。少子化が進んで、大学は学生集めに奔走したからだ。学生というお客様がいなければ、大学は維持できないし発展もできない。少子化で子供の数が減ってしまったから、それを維持するために付属校を作り、エスカレーター式にした。学部を増やして枠を増やして、入学試験の間口を広げた。昔には入れなかったレベルの人が名門大学に入れるようになってしまったから、そのブランドは薄まってしまった。結果、大学という学歴自体が安いものになってしまった。これでは指標として使うには精度が悪い。

明治時代や昭和初期に早慶に入学した学生というのは、本当に優秀だったのだと思う。その時代は学生になること自体が珍しく、入学も狭き門であった。だからこそブランドになった。だが長い年月の中で、そのブランド価値は失われた。価値が薄まってしまった。多少の難易度の違いはあれど、大学というもの自体に価値がなくなってしまった。Fラン大学が乱立し、名前さえかければ誰でも入れるような定員割れ大学すら出てきた。皮肉なことに大学自体によって大学の価値が失われてしまった。

僕はプロダクトサイクル理論が好きなのだけれども、大学というビジネスモデルも生まれて、最盛期を迎えて、衰退している。もう衰退はだいぶ進んでいる。学歴が有効に機能するのは、あと20年くらいだろう。

自然への回帰

ここまでお話しした学歴社会というのは、ここ100年くらいの文化であり、人類の長い歴史の中ではほんの一瞬だ。そしてもうすぐ、その文化も失われていくだろう。なぜなら、学歴社会など、自然の法則にマッチしていないからだ。自然界では、力あるものが大きな獲物を得て、子孫を繁栄できる。力なきものは死ぬ。そういう自然淘汰の圧力が常にかかるはずなのだ。

だが学歴社会は一度学歴を取ってしまえばその後は大きな努力を要求されなかった。既得権益の内側に入ってしまえばそれでゴールだった時代があった。これはもう一つの不自然現象である終身雇用もからんでくる。学歴が入社の関門で、入った後は、大きな努力は不要だった。これは自然の法則に反している。こういう不自然な文化もまた、価値の減衰という自然淘汰圧力によって淘汰されつつある。自然とは、神の見えざる手とはよく言ったものだ。自然が自然に帰っていく力を感じずにはいられない。無理な拡大路線はいつか淘汰されるのが自然界の常だ。

まとめると、学歴は就職と女性に対してファストパス。MARCHがコスパ良いよ。でもそんな学歴社会はあと20年くらいしかもたないから、2030年頃にこれを読む高校生は気をつけて、という記事だった。

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