ゼクシィ300円(税込)

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ライフハック

電車でゼクシィの広告を見た。付録でトートバッグが付いているとのこと。そして定価は274円、これに消費税がついて300円だった。作っている人には申し訳ないが…闇を感じた。

僕はかつて、結婚式を予約するもキャンセルしたことがある。

素敵な本ゼクシィ

ゼクシィは、手に取ったことがある人ならわかると思うが、重い。ほとんどのページがフルカラーの写真で、厚めの上質紙だ。取り扱いを誤れば、すぐに指に切り傷を作ってしまうような丈夫な紙だ。

そんなゼクシィは結婚に関する情報で満載だ。式場、ドレス、指輪、旅行というメインどころはもちろんのこと、家族に着させる服、日程のこと…とても詳しい。そんな情報満載で、良質な材料でできている大型本が税込で300円!これはすごいことだ。ジャンプより安いぞ。

白黒インクで作られているビジネス書は1,500円プラス税で1,700円くらいするのに。

ゼクシィは有料の「舞台」

なぜか?それは式場や各種メーカーが、ゼクシィに対して「広告料」を払っているからだ。ゼクシィの紙面を借りて、見込み客に広告を打っている。戦略的にとても有効だ。

ゼクシィとは、本の体裁をなしているが、その本質は「広告媒体」である。有用な情報を求めて、読者は書籍や雑誌を開く。そこに広告が登場して、興味関心がある顧客の購買意欲を高めていく。昔ながらの手法だ。だから結婚式場は自社の宣伝をゼクシィという舞台で行うために、その舞台への入場料として広告料を支払っている。

その結果、トートバッグ付きで300円になる。

僕と結婚式場

僕は結婚した時には、まだサウザー師匠と出会っていなかった。そのため、世間の常識に流されて、結婚式を挙げようとしていた。妻と式場に見学に行った。

式場自体は綺麗だった。レストランで試食もして、美味しかった。さて、本題の見積が始まる。

まず、新郎新婦合わせて、どれくらいお客を呼ぶか、から始まる。これによってテーブル数と部屋の広さが決まる。お出しする料理・飲み物のグレードも選ぶ。招待状とか、テーブルに飾るお花のランクなども選ぶ…

この辺までは良かった。わざわざ駆けつけてくれるお客さんに良い料理をお出ししたかったからだ。そのために見積が増えるのは致し方ない。まぁ多少の割高感はあるが、式場の経費とか考えたらしょうがないのかな、と思っていた。

ところが…式のメインとも言える、新婦のドレス、これが大問題だった。当たり前だが式は1回だけなので、レンタルした方が良い。しかし、レンタルなのにすごく高い。

最も安いグレードで20万スタート。しかもそのグレードで選べるドレスは素人の僕が見てもかなり質素で、こんなんなら着ない方がいいだろレベルのものであった。写真にも悪意(?)が感じられた。中ランクのドレスの写真はマネキンが着ていて、パステルカラーの背景。最高級グレードはモデルさんが着ていて、すごくかっこいい写真に対し、一番安いグレードのドレスは、闇の中、スポットライトで照らされて、木製の枠(ヒトの形してるが頭部はない)に掛けられていた…露骨すぎ。

ちなみに中グレードで40万、最上級で80万くらいだったか。いわく、数回レンタルしたら破棄するから仕方ないんです、とのことである…。特に中〜最上級は海外からの取り寄せだったり、有名ブランドものらしい。なお、新郎のタキシードは普通ランクで10万くらいだった。

式に出席した人は経験があるかと思うが、純白のウェディングドレスの他にも、カラードレスという、黄色や赤や青の単色ドレスをお色直しとして着ることもある。これも同じくらいのレンタル料がかかる。

おぉおぉ…俺の車、中古で45万だったんだけど…と思った。しかも妻は、ドレスの構想をかなり練っていたようで、いくつかこだわりポイントがあったから、何度も試着をした。ドレスは奥が深い。上半身のデザインと、下半身のデザインがそれぞれ4通りずつくらいあり、さらに細かい素材や装飾を加味するとものすごい数の組み合わせが発生する。

結論を言うと、僕の妻が気にいるドレスはなかった。

持ち込み料20万ワロタ

結局、セミオーダーでドレスを作れる店を、妻がネットで探してきた。

そのお店は中国の工場と提携しているとのことで、そこそこなクオリティのドレスを15万円とかで作ってくれることになった。もちろん、妻が要望している要素の大部分が叶えられている、セミオーダードレスだ。

さてそんな風にドレスを確保した僕らは式場に、その旨を伝えた。すると持ち込み料は20万円だという。えぇ!?借りないんですよ!?と聞いたら、式場で着付けをしたり、アテンドする人件費がうんたらかんたら〜と言っていたが、説得力はない。ドレスの原価がある程度わかったので、僕はレンタルの価格設定が理解できた。ドレスで粗利を稼いでいるんだなぁ、と。

ちなみに、お葬式でも似たようなことが起こる。お葬式で、故人の遺影を飾る「祭壇」は数十万円〜(100万以上あり)する。お花がたくさん飾られているアレである。

僕は喪主も務めたことがあるので体験したのだが、この祭壇のカタログも、かなり悪意がある。最も低いランク(それでも30万とか)だと、花はほとんどなく「葉っぱ」まみれである。写真もなんか殺風景だ。カタログ写真の背景が黒かった気がする。

中グレード(70万)くらいからようやくマトモになって、花が増える、背景がパステルカラーになる。最上級(150万〜)は精巧な木彫りが追加されて、荘厳な雰囲気のガチな写真になる。かっこいい。そう、ドレスも祭壇もシステムが非常に似ている。

ケチったら一気にしょぼくなるメインの部分に、フルに粗利を載せるのだ。

ウマい戦略っちゃあウマいが、なんかこういう手口にうんざりしてきた僕と妻。さらに追い討ちをかけたのが担当者の対応の悪さだった。メールが返ってこないし、電話しても折り返しがない。何百万もかけるのに、なにこれ、としらけていく僕たち。そのためキャンセルを申し出た。

すると、頭金の10万円は返金できないとのことで、ここでもサンクコストをカタにとられて、一層腹立たしくなった。いわく、日程を押さえてしまっているから、その料金だと。

もはや10万はいいや、と諦めてキャンセル。ちなみにこれを2箇所の式場でやったから合計20万を空費した。2軒目はマトモかな、と思ったがだいたい同じ感じで、同じく担当者の対応悪く、興ざめしていくのだった。

ハワイでフォトウェディングという解

結婚式・披露宴はもはや面倒臭くなってきていた。僕も、妻も。

しかし、せっかくドレスも作ったのだから、記念写真くらいは撮ろう、と思った。そこで、ハワイに新婚旅行をして、そこでフォトウェディングをすることにした。

費用は1万ドルだから、10数万円だった。リムジンをチャーターしてくれて、オアフ島の東、ワイマナロビーチという非常に美しい砂浜でプロのカメラマンにたくさんの写真を撮ってもらった。

結果的に、これで僕らは満足した。多くの友人や同僚を式場に呼びつけて、休日を潰させてご祝儀をもらっちゃう、ということに抵抗を覚えていた僕たちには最良の結果だったと思う。

JTBで5泊7日をホテル付きで予約して、2人で65万くらい。フォトウェディング15万、滞在費10万、買い物・お土産10万くらいで計100万くらいでかなり遊べた。ハワイはアメリカのブランド物が割と安い。関税って高いんだなぁと呆れたが、ゆえにお土産としてはコスパが高かった。

経済的合理性を追求するならこの新婚旅行も無駄になってしまうのだが、一生に一度でもハワイに行きたいなぁと思っていたので、それを達成できて満足はした。後悔が一つ減ったかな。勤め人卒業は1年ほど遠ざかったが…。

ゼクシィ300円を支えている人

さて、ゼクシィに話題を戻そう。ゼクシィは広告費で成り立っていると述べた。式場から広告費をもらっているから、300円で売り出せる。

さて……では式場が拠出する広告費の出どころは、どこだろうか…?

そう、ドレス代の粗利からである。

式を挙げる人の財布が、結果的にゼクシィ300円を支えているのである。

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