エドから学ぶ、「働き方」

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雇われ人卒業

最近、エド・スタフォードという人がジャングルや砂漠で生活してみるという「秘境生活」シリーズを観た。どうやらディスカバリーチャンネルの番組で、期間限定でYouTubeでも配信しているらしい。

秘境生活 概要

普通のサバイバル動画と違うのは、ナイフどころか衣服すらない状態でスタートするところだ。そのため、エドは石で木を切り倒し、草で服を作り、ヤシの葉で小屋を建て、木材のみで火おこしをする。

そんな原始人と同じスタイルで10日間過ごし、継続的に生き延びる為の条件を揃えていく、というのが番組の趣旨であるが、僕はこの生活の中に現代社会でも通用する概念を学んだのでご紹介したい。

食料集め=お金集め

エドはいろんなものを採集したり捕まえて食べるのだが、やはり安定的かつ安全に、さらに労力を少なく食糧を確保するように動いていく。最初は木の実やサボテンの実を集めるのだが、カロリーが足りないしタンパク質や脂質が得られないので、次に昆虫や魚、鳥やネズミなどを狙っていく。

この中で、特に印象深いのは硬い地面に埋まっているイモを掘るシーン。地面はかなり硬く、動物の骨を使って2時間くらい掘るのだが、両手のひらで収まるくらいの量しか採れなかった。エドも語っているが、これは消費カロリーの方が大きい。

次第に動物や魚を狙っていくのだが、追いかけまわしても捕獲できない(魚は捕まえられたけど時間かかってた)。

そこでエドはワナを作る。植物や石で罠を作り、仕掛けておく。罠を作るのに時間はかかるが、仕掛けた後は、罠が仕事をしてくれる。事実、エドはこの方法で大きなナマズやニワトリ、ネズミやスカンクを捕らえていた。

僕はこのプロセスは現代社会でも同じだと思う。エドが食料を手に入れるのは、僕らが現代でお金を得ることと同じだ。僕らはいろんな方法でお金を得ることができる。

営業職というハンター

特に僕は営業職なので、獲物を捕まえるのと、営業成績をあげることがダブって見える。僕が新卒で入った会社は、いわば獲物を追いかけ回すような営業スタイルの会社で、毎日毎日、新規訪問件数のノルマがあった。その中で運が良ければ売れるし、ゼロの日も多かった。そして、とても疲れた記憶がある。

転職して入った会社は、仕組みがよくできているので、毎月、何もしなくても売れる。たまにメンテナンス程度に顧客を訪問するが、とても安定している。新規は、余力があればやってね程度である。
生活に余裕ができた。転職して年収も上がったし、余暇時間も増えた。苦労と収入は比例しない事もあるのだと学んだ。

社風が違うだけなんじゃないかと思う方がいるかと思うが、前者は追いかけ回す方で、後者は罠を作るタイプの仕事なのだ。そう、罠を作っていない会社、作れない会社は安定的に売れる仕組みがつくれていない会社なのだ。

だから、ハンターである営業マンが毎日死力を尽くして獲物を追いかけ回さないと、潰れる。だから経営者は社員であるハンターを叩く。叱る。尻を叩く。そして、僕の結論としてはそんな会社にわざわざ入る必要などない。

罠(仕組み)を作る

エドはすぐに、獲物を追いかけ回すのは割に合わないと判断し、罠を作っていった。罠を仕掛ければ、拠点づくりや火おこしなど、他の作業ができる。獲物を追いかけまわしていたら、それもできない。

僕が思うに、会社における「罠」とは「設備」だと思う。設備が仕事をするから、ヒトはその仕事をしなくていいし、その設備があることが、他社の参入を難しくする。当然、製法や原料に秘密があれば、それでオンリーワンの商品が作れて、強力な武器になる。これが現代の「罠」だと思う。罠を作るのには時間とコストがかかるから、参入障壁になる。

ブラック営業の要因

罠がない会社は、ひたすらにハンターの数を増やしていく傾向にある。ハンターを雇えば雇うほど、獲物を獲得できる可能性が上がるとその会社は考えているからだ。また、設備ではなくヒトが資源となるサービスなどもこれに当たる。ハンターの数を増やすのももちろんだが、1人を8時間以上働かせれば、実質的な人数が増える。10時間を4人働かせれば、1人分増える。そしてその分をサービス残業化させるのがブラック企業なのだ。

こういう会社がブラック化しやすいのは「ヒトが頑張れば解決してしまう」問題だからだ。設備が、罠が働くタイプの会社では、ヒトが頑張っても生産性は上がらないことが多い。でもマンパワーに頼っている会社は、ヒトが頑張れば頑張るほど、成果は上がる。そしてその頑張った分の残業代を払えばトントンになってしまうので、ブラック経営者は払わないように社員を洗脳する。当然違法であり、最近では残業代の請求も流行っているので良い傾向なのだが、本質は「ヒトが頑張れば何とかなっちゃう商売」だから発生するのだ。

獲物を追いかけ回さなくても済む方法を

エドが、拠点づくりも火おこしも全部捨てて、罠なしで魚を追っかけ回していたら、10日間のサバイバルはできないだろう。埋め合わせができないからだ。

僕自身の経験からも、もしこれから転職を考えている人がいるなら、このように罠=収益をあげる仕組みがしっかり組まれて仕掛けられている会社を探すべきだ。収益をあげている方法を聞いて、「それってヒトが頑張ってるだけですよね?」と感じたらやめましょう。そんな環境にいては、長生きはできない。現代はサバイバルではないから、死にはしないが、その代わりに人間らしい生活を全て放棄してその分を会社に吸われるハメになってしまう。

人間らしい生活とは、7時間以上寝たり、趣味をやる時間・資金を持つこと、異性と付き合うこと、などである。繰り返すがこれらをなげうって働いても死にはしない。だが、あとになって「アレもできなかった、これも失くした」と後悔することになってしまう。そしてその代償であるお金は支払われず、ブラック企業に吸われてしまう。

どんな貧乏人でも、知能が低い人であっても、等しく「時間」と「肉体」を持っている。ブラック企業の経営者はこの2つの資源を狙っている。この2つの資源を割安で仕入れて、高く売っているのがブラック企業の正体なのだ(参考記事:資本家が狙ってくるもの)。

続編:エドから学ぶ、生き方(ベネズエラ編)

コメント

  1. ルキア より:

    とても分かりやすい説明です。
    転職に役立てようと思います!

  2. ヤコバシ より:

    >>1
    お役に立てて何よりです!罠(仕組み)をうまく作っている会社、そして設備集約的な仕事はブラックになりくいのでオススメです。