勤め人たちの狂宴

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日記
最近、大学時代の友人の結婚式があり、大きなホテルへと赴いた。雇われ人脱却を目指すならば、種銭を貯めるためにこういうセレモニーには出ないのが鉄則であるのだが、そこそこ付き合いが続いている友人の晴れの日だ。勤め人卒業がわずかに遅くなるのだが、それは致し方ない。そして本記事のネタになるような高給勤め人を探そうと思って潜入したら、見事に取材ができた。

高学歴な夫婦とその友人たち

僕はMARCH卒なので友人もMARCH。そして友人の奥さんは早慶だった。僕の友人は大手コンサル会社に転職ステップアップして入ったので、来賓もその大手コンサルの人たちが数多く出席していた。
また、友人は地方出身なのだが、その地方では偏差値高めの進学校出身だったようで、その高校時代の友人も出席していた。僕は偶然、そんな人たちと絡む事ができた。慶應卒の外資系コンサル勤務と超大手メーカー社員①②であった。そんな高級勤め人たちの生態を少し知る事ができたので特定できない範囲でご紹介していく。

超大手メーカー①

既婚子供2人。社宅住みだが、その社宅は六本木。しかも自己負担は一桁万円。そこに家族4人で住んでいる。外車に乗り、腕時計はおそらく100万は余裕で越えるものだった。これぞ高級勤め人である。ちなみに彼の自虐風自慢は、終電逃してもタクシーが安い、というものであった。もはやこのレベルまできたらアッパレで、古き良き、かつて日本人が目指したサラリーマンそのものだと思う。

超大手メーカー②

昨年結婚して都内にウン千万のマンションを買う。ちなみに両家の親が結構払ってくれたらしい。彼は金持ちの家の子息そのものであった。正直、年齢にふさわしくない貫禄と服装センス、小物(金腕時計)だったが、生来の金持ちとはこういうもんなのか、と思った次第だ。ゴルフとテニスに余念がなく、すごく日焼けしている。

外資系コンサル

彼は独身で、毎夜、銀座や六本木で遊びまくっているという。高級ソープっていうか高級デリヘルの御得意様になり、来月のGWには男4人でヨーロッパ周遊ツアーを40万かけて行うらしい。そこでドイツのFKKやらなんやらに行くらしい。豪遊である。これまたバブル期のサラリーマンが夢見た、一つの到達点であろう。当然、彼の腕にはロレックスが輝いていたし、立ち居振る舞いも慶應卒のジェントルマンであった(趣味の方向性は置いておいて)。

酸っぱいブドウ?

僕はこれらの人の話を聞いていて、正直全然うらやましくなかった。だがこれを読む人には、完全に「酸っぱいブドウ」に見えてしまうだろう。だが、本当にうらやましくない。なぜなら彼らは資本主義に搾取されているからだ。まさに国が、資本主義が理想としている、成果を出し会社に献上し、高給を稼ぎ、納税し、大量に消費する、素晴らしい労働者である。マスコミに踊らされ、誰が決めたかわからない世間体に従い、見栄を張ることを強いられている。
高給サラリーマンは高い給与をもらい、福利厚生も素晴らしい。だが彼らの仕事ぶりを聞くと、拘束時間も半端ではないし社内外の接待も連日連夜である。自分の時間など、ないのではないだろうか。
話していて僕は感じ取った。この人たちは自分の勤め先を、本当に愛している。その会社の一部として全力を発揮できる事に喜んでいる。素晴らしい忠誠心であった。彼らが幸せなのは、その愛と忠誠心がちゃんと返ってくるであろう会社が相手だということだ。彼らは、きっと報われる。
だから、彼らは日本のサラリーマンが目指すべき姿を体現しているといえる。僕らが幼い頃から刷り込まれてきた、サラリーマンとはかくあるべし、という姿を体現した者達だ。もし僕も、新卒でこのような会社に入っていたら、滅私奉公し仕事を、会社を愛する者になっていただろう。

理想的な消費者

彼らは雇われ人の枠からの脱出など、露ほども思っていない様子だった。なぜなら、ボーナスが入れば腕時計、車、マンション、海外旅行といった消費に性向を持っていたからだ。もし雇われ人からの脱出を目指す人であるならば、このような買い物はしないはずだ。
ちなみに皆、盛大な結婚式を挙げていて自虐風自慢的に「1,000万は行かなかったよ〜w」と話していた。このスケール感である。それはそれでいい。この国の、サラリーマンの頂点である高級サラリーマンはこういう存在でなくてはならぬ。そうでなければ夢がない。
ただその夢は、それを吸わんとしている業者と資本家に全て吸われている。結婚式の1,000万のほとんどは式場に、高級車も、高級腕時計も、高級マンションも、それらを狙っている業者にことごとく吸われている。そうして吸われていった先に、雇われ人からの脱却はない。彼らは、なんと理想的な消費者なのだろうか。購買力も信用もある、教養もある。見栄を張る場もある。

終わりなき競争

僕の主観だが彼らは互いにそれらを競い合っているように見えた。自虐風に語るのだが、結婚式にかかった費用や外車の燃費の悪さを、競っている。見栄を張り合っているように見えた。そのような戦いの舞台に立ってしまったら、終わりがない。
酸っぱいブドウと言われてしまってもしかたがないが、僕はこのような戦いからオリていて本当に良かったと思う。本当に終わりがない。オメガよりもロレックス、それよりもパテックフィリップ、と際限がない。車も同じだ。そうしてその競争をさせて本当に喜ぶのは、誰なのか。
ただ、彼らのように報われる可能性が高い勤め人も、良い生き方なのは間違いない。結局、その生き方が好きかどうか、自分の性に合っているかどうか、納得できるか。それしかない。

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