僕はもともと、三国志や戦国時代のシミュレーションゲームが好きで、そこから本編にも興味を持って、書物に移った派の人間だ。
それは僕が大学生の時にハマったので、就職前であった。
三国志でいうと僕は趙雲という武将が特に好きだった。
関羽とか諸葛亮ももちろん好きだけど、趙雲!
そんな趙雲が輝く場面は「長坂の戦い」これ前半のハイライト。
敵軍に襲撃され、君主(劉備)の妻子を敵軍の真っ只中に救出に突っ込み、奥方は救えなかったが子供を連れ帰った話だ。
傷だらけになりながらも忠誠を誓った君主の子供を連れ帰ると、劉備は子供そっちのけで趙雲の手を取って、
「子供はまた作れば良いが、優れた将は簡単には出会えない。
お前が生還してくれたことの方が嬉しい」と趙雲を称る!
これに趙雲は一層感動し、さらなる忠義を誓っていく…という胸熱ストーリー。目頭がアツくなるぜ。
学生だった僕はこういう君主を得たいと思い、就活に入っていきます。
今思うと完全に洗脳にはまってますね。
史実がどうであったかとか、劉備が名君主だったとか、そういうのはいいんです。
問題なのは、僕が滅私奉公が美しいという洗脳を入れられちゃってるところです。
三国志を書いた人の真意はわかりませんが…昔から、特に日本にはこういう物語が多くないでしょうか?
忠臣蔵とか、信長と秀吉とか、本多忠勝とか水戸黄門の助さん格さんとか
「忠義」がすごく美しく描かれていますよね。
そして大体、君主は人徳のある人。
そういう君主に使えて、滅私奉公し、最後には褒められて報われるというストーリー。
これは、実は昔の支配層が下々の民草を暴動を起こさないようにつくった壮大な洗脳なんじゃないでしょうか。
少なくとも、この話を小さい頃から教えられてきた僕みたいなやつは目上の人、教師や先輩、上司、親には逆らわない感じに育ってました。
また、こじらせた挙句に就職活動においても自分が仕えるべき君主を探してたフシがありました。
いいんですよ、本当に男気があって、部下や付いてくる者たちのことを本当に気遣える名君がいれば、その傘下に入ることは。
でも大体はそこまでの名君はいないのが現実です。
むしろいかに部下を搾取しようか常日頃考えてる君主も多いです。
そうでなければ、こんなにブラック労働が問題にならないでしょう。
まあ実際には、トップの経営者の影響力が強いのは中小企業までで、
大企業になるとその下の幹部や中間管理職、さらにその下の部隊長クラスがブラックを生み出すわけですが…
僕は新卒の就活の時、まず忠義=仕えることがベースだったので、雇われる人になるしか考えていませんでした。そして、いかに成果をあげて君主に褒められて、あわよくば報酬も…と考えていました。
さらに、自分に力をつければどこでも雇ってもらえると思い、自分に力をつけようという切り口で業種を選びました。
今、いろいろ学んで当時の自分に言いたいこと言います。
「オマエ何、ヒトに使われるための訓練をガチンコでやってんだよwwww」
ヒトに使われるという枠の中でしか物事を見ていない。
いかに自分が優れた部下になって恩賞を受けるかという切り口しかない。
忠義を果たしても、何も得られんぞ?と言いたい。
でもそれは、カネがからまない学校生活において醸成されたものと思う。
先生や親からの褒めの言葉や内申点が上がるという精神的報酬のみにフォーカスする生き方であった。
就職をしたら、精神的報酬は重視してはいけない。実利を追うべき。
精神的報酬は、与える側からしたら超低コストだからだ。
それで喜んで、自分の労働力・幸運・時間を差し出すのはまんまと策略にハマっている。
歴史的な美談は、支配層が自分を正当化する壮大な洗脳なのだ。
終
コメント