前編に引き続きちいかわワールドの考察を深めていきたい。
前回は主要3キャラ(ちいかわ、ハチワレ、ウサギ)を考察したが、今回は重要なサブキャラたちに焦点を当てていく。
栗まんじゅう先輩
栗まんじゅう先輩は酒飲みキャラであるが、草むしりの仕事をしている描写がある。
そしてお酒の免許も持っている。
また、ウサギがちいかわをくすぐっているのを鮭とばで制止したり、ちいかわハチワレに柿の種を分けてあげたりちいかわに缶コーヒーを差し入れするあたりから、年長者であることが感じられる。
このことから私が感じたのは、栗まんじゅう先輩は
「出世競争から降りたオッチャン」
のメタファーではないか、ということだ。
後述するラッコ師匠のように厳しい任務に赴くことはせず、報酬は少ないが気楽な草むしりをして生計を立てる。
そして小遣いの中で工夫して、一杯やって人生を楽しむというのが栗まんじゅう先輩の生き方だ。減速して生きる、スローライフに近しい価値観であろう。
栗まんじゅう先輩が楽しんでいる食べ物や飲み物は手が届きやすい。
また、それらに一手間を加えることで大いに楽しんでいるところもポイントだ。そう楽しさは、金額をかけることだけが手段ではないと、そう教えてくれるのだ。
シャウエッセンからはじまり、炙り〆鯖、焼き椎茸、ケバブ、鈴廣かまぼこ、わさび味柿の種…
飲み物も、ストロングゼロから始まりビール、日本酒、コークハイの他、お茶や缶コーヒーもある。
決して手が届かないようなものはなく、だからこそ、そこに「足るを知る」のような哲学を感じるのが栗まんじゅう先輩の生き様だ。
ラッコ師匠
ラッコ師匠は上位ランカーのみに許される自身の顔マークを入れた専用武器(剣)を持ち、大きな討伐もこなす、凄腕のちいかわ族だ。
獲得している報酬袋の大きさから、年収の多さが窺える。
ちいかわハチワレに焼肉をご馳走したり、車を持っていたり、通常のちいかわ族とは一線を画する。
しかしながらフランケン先生の考察によれば、このラッコ師匠でさえ鎧さんから任務を請けて、それをこなして報酬をもらっているという形態のため本質的には勤め人であるという。
ラッコ師匠はウサギのように湧きどころを探し回ったりせず、鎧さんから案件を請け負うのが基本動作となる。
難易度の高い討伐は当然、高い戦闘能力が求められるし、危険とも隣り合わせだ。
そうであるがゆえの高い報酬と考えると、手放しで羨ましがることもできない。
まず高い能力が求められるという点で、それを達成できる者は少ないし、またその能力の獲得に向けて努力を継続することもまた、できる者は少ないであろう。
そういった意味で、ラッコ師匠は元から高スペックであったと思う。またナチュラルなのか、後天的に身につけたものなのかはわからないが、ラッコ師匠は優れたコーチングスキルも持つ。
弟子入りを希望したハチワレに対し、的確なアドバイスと、指示の言い方、そしてうまく褒めるあたりが非常に上手い。
ラッコ師匠のマネジメント能力の高さに驚く。
ただやはり、鎧さんの労働という枠の中で生計を立てているところからやはり、ラッコ師匠は
エリートサラリーマンのメタファーであると考える。
モモンガ
まずモモンガは、秘術により身体を乗っ取ったと考察されている。
そして中身に目を向けると、まずは「かわいくなりたい」という願望があるが、これを訳するならば「周りからチヤホヤされたい」ということになる。いかに外見がかわいくても、それを見てくれる者がいなければ意味はない。
またモモンガは作中でも鎧さんやちいかわ達などの前で、かわいい動作をしたがることからも、この真理が読める。
さらにモモンガは労働はせず、湧きどころを探し回っている。
ただ、前編で述べたウサギとはそれに対する執着の感じを異にしている。
ウサギは湧きどころが枯れたらすぐ他を自力で探しに行くのだが、モモンガは他者に「どこにあるんだ!?」と聞いたり、枯れていても執着したりしている。
これらのことから私は、モモンガを
「港区女子」
のメタファーであると考察した。
容姿を変える秘術とは、整形手術のメタファーだ。
作中では山姥(魔女)が秘術を繰り出してちいかわ達の身体を奪おうとしてくるのだが、これとはまた別と捉える。
なぜなら魔女とモモンガが直接やりとりしているシーンはないからだ。
しかし流れとしては、「でかつよ」だった者が「モモンガ」の容姿に憧れて、色々やった末にモモンガの姿を手に入れたと。
そのためモモンガはまず労働などしたくはないし、湧きどころというフリーランチを探し回る。
「甘いものが食べたいんだよォーーーッ」
と鎧さんに詰め寄ったりする。
ちいかわ達が食べている木の実は食べたがらない。
お金を自力で稼ぐことはしない。
他者からもらうのが基本。
う〜〜ん、考えれば考えるほど、モモンガは港区女子だ。
この次のカニちゃんとの関係性もそれを裏付ける。
カニちゃん
なお、最近では通称「カニちゃん」というモモンガ相方が登場したが、これは非モテの優男(やさお)のメタファーだと思われる。
カニちゃんはちいかわクラスの労働をしつつ、古本屋を営んでいる。
ほしい本がたくさんあるが、全ては買えず、収入は少ないようだ。
そしてずっとMOBキャラ扱いで、灰色で描かれていたがモモンガに
「これ、2つはいらないから持ってて」
と装備させられたカニの頭飾りが着いて、正式にキャラクターとなった。
カニちゃんは、モモンガに食事を作ってあげたり、旅行に連れて行ったりして甲斐甲斐しく世話を焼いている。
その顔は、下がり眉で常にニコニコしている、明らかに「いい人」。
カニちゃんの体色はピンクで、モモンガは白がベースに水色の尻尾を持っているので、何となくだが
モモンガ ♂
カニちゃん ♀
のように無意識に感じてしまうが、実はモモンガが港区女子で、カニちゃんが非モテの優しい男だとするとこの関係性に合点がいくのではないだろうか。
その他
そのほかにも、シーサー、鎧さん、あのこ、流れ星、キメラなど多くの考察対象がいるのであるがもう2,500文字に迫りつつあるので、ここらで一区切りとしたい。
ちいかわワールドは人間界の縮図ゆえに、惹かれてしまうのだ。
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