日本の街並みには広告が多すぎる。駅はもちろん、電柱にもベタベタ、ビルの袖看板はやかましいくらい文字が主張している。このような景観は日本だけだろう。そして僕らの身の回りにある無料のものというのはほとんどが広告目的であり、常に僕らは購買意欲を掻き立てられて暮らしている。
さらにその広告たちに対し、モヤモヤした気持ち、虫酸が走る思いを感じたので、それについて考察したい。
刷り込み
僕は受験勉強をしている時に、数学で苦戦していた。高校生の時、数学はアタマが柔らかくなくてはできない、ひらめきが必要な学問だと思っていた。だが、その時に「数学は暗記だ!」という参考書と出会った。いわく、高校レベルの数学なぞ解法を暗記するだけであり、ひらめきとか必要ないから、という内容だった。そしてその解法の暗記の方法はただ一つ。「何回も繰り返し見る」これである。英単語などもそうなのだが、結局人間は、多くの回数を見たものを覚えるようにできている。机に向かってウンウン唸りながら何時間も見るのではなくて、毎日少しずつ、見る。目に触れさせる。その繰り返しで、無意識に覚えるのだ。
広告が毎日、徐々に脳に染み込む
そしてこの仕組みを利用して、広告は僕らの身の回りに文字という形で、毎日登場する。毎日使う駅の改札の正面には大きな広告が貼ってある。そして電車を待つホームにも、たくさんの広告がある。それらは、毎日目にする僕らに「暗記」を強いている。僕らは無意識にそれらを暗記させられてしまっている。
そして、いざそれが必要になった時に、まず最初に思い出してもらえるようにしている。それが広告だ。もしくは、何かを必要としている人は、その単語についてアンテナが高い状態になっている。例えば、腕時計が欲しいなと思っている人には腕時計の広告はタイムリーだし、転職したいなと考えている人には転職の2文字が脳に突き刺さる。これらは広告の狙い通りと言えるだろう。
メディアは広告の集まり
僕はかつて、「R25」というフリーペーパーの雑誌をよく駅でゲットして喜んで読んでいたのだが、なぜフリーで配られているのか、よくわかっていなかった。そして、ファッション雑誌やその他にもガジェット系の雑誌、ゴルフ関連雑誌も、なんであんなに安いのか、よくわかっていなかった。フルカラーで写真が満載で、サイズも大きく、上質な紙を使っているのに。たまに、付録もついていたりするのに1000円未満の値段。なぜなのか?出版社が赤字でやってるのか?とか思っていたが、実際はそうではない。
雑誌というのは広告の集まりだ。メーカーが、お金を払って(広告料)、雑誌のページを買っている。そして、読者である僕たちがその広告を目にして、品物を買う。ゆえに成立している。
テレビも同じで、企業の広告(CM)をみてもらうためにスポンサー企業がいる。ここまで偉そうに語ってきたが、そんなの当たり前じゃん、と皆さん気付いているかと思う。しかし、それが当たり前になりすぎるくらい、この日本には広告が溢れている。昨日の記事でも書いたが、ウェブサイトには広告やアフィリエイトリンクで溢れている。仮面ライダーも、仮面ライダーのグッズを売るために、無料でテレビ放映をしている。あの活躍劇は、子供に変身ベルトを欲しがらせるための壮大な広告なのだ。だから、ただのプラスチックのカタマリが何千円にもなる。
このように、もともと雑誌やテレビには広告は既にあった。それが、人々が接する媒体がスマホに変わったから、アフィや広告がウェブに移った。
なんかヤな広告
そして最近、そういう気持ちで街中の広告を見ると、ヒデー広告が多いなと感じた。例えば、某銀行のポスターには、
今は手持ちのお金がなくて欲しいものが買えないな〜
お給料日はまだまだ先だしな〜
…あ!
カードローンを利用すれば買い物ができるよ!
ご利用は計画的に!
みたいな4コマ漫画が描かれていた。こうして情報弱者っていうか知能が低い人に借金をさせて、利ざやを抜くのが銀行の狙いと思うと、ひたすらにヒデーなと思う。もちろん、それが銀行の商売だから、仕方がないことはわかる。わかるんだけど、ヒデーなと思う。個人的な感想である。弱者を食い物にするような広告が街中に堂々とある、これが僕は…なんかヤだ。違法性はないが、なんか、ヤだ。
過払い金と消費者金融
あとはラジオを聞いていると借金の過払い請求の広告がメチャメチャ多い。でも、過払い金に関する広告は、他のメディアではほとんど目にしないと思う。テレビやネットではほとんど見ない。実は、ラジオというのは長距離運転のトラック運転手が主なリスナーだという。その層へ向けて、過払い金の広告を毎日流しているのだ。その過払い金の広告はこう語る。
「借金の正確な額がわからなくても大丈夫!まずはご相談ください!」と。
この仕組みは、法律事務所にかなり有利にできている。基本的に、報酬は過払い金のうちから支払われる。取りっぱぐれがない。金融業者は法律を盾にされたら為す術がないから、本当に過払いだったら還付をする。結果的に過払い金が一部でも還付されたら、借りてた人はハッピーなのだが、僕はここにまた虫酸が走る。こうやって得た利益が広告費になって、ラジオに流れていることに。でもこれは法律事務所からしたら当然の行為であり、なんの違法性もない。
…でも、なんかヤだ。弱者を利用して金儲けしているのが、こんなに堂々と流れているこの現状。違法性はもちろんない。が…なんかヤだ。先の銀行の広告も合わせて、ただただ、僕が個人的に虫酸を走らせているだけだが。
あと同じなのはYoutubeで何度も流れてくる消費者金融の広告も同じ。なんであんなに借金を勧めてくるんだよ。金借りろ!金借りろ!でも計画的にな!やっぱり金借りろ!って、なんでそんなにたくさん、お金をかけた広告が打てるんだよ?転職サイト、お前もだ!!なぜだ?
……ああそうか。
こんなにたくさんの広告が打てるほど、儲かっているんだね。
儲かっているから広告が打てる
僕が感じてきた虫酸の正体はこれだった。儲かっているから、広告費が打てる。有名女優を起用したり、バカでかい広告を渋谷に貼ることができる。電車の中吊りを一色にできる。球団が買える。YouTubeに広告動画を流しまくれる。ひたすらに儲かっているから、できることである。
ではその儲けはどこからきているのだろうか?
それは我々消費者の財布から出ている。僕はメーカー勤務だから特に思うのだが、取引先が僕らに値下げを強要している裏側で、日経新聞に「過去最高益!」とか掲載されているのを見るとオイオイその利益はウチから毟り取ったものだろ、儲かってるなら返せよと純粋に思う。
だから、広告をバンバン打っている会社は儲かっている。その儲けは、僕らが支えている。そういう構造を考えると、モヤモヤした気持ちになってくる。あくまで個人の感想なのだが、そんなに儲かっているなら少しでも安くして欲しい。その広告を削った分、金利を安くしてやれよだし、過払い金の報酬を減らして依頼主に多く返してやれよと思う。もちろん、全く広告するなとは言わない。でも、ちょっとやりすぎなんじゃねェか?と個人的に思うのである。あと消費者金融(借金)とか過払い金の広告は回数自体を自重して欲しいというのも個人的な感想だ。そんなに消費者をバカにしたいの?と虫酸が走り回ってしまう。
借金を促し、転職を促し、そうして引っかかった人たちを養分にして、利益を上げる。その利益の中から、さらに広告を出して、新たな客を釣っていく。そして過去最高益。
…こういうの、もうやめてほしいなと個人的に思う。繰り返すが、このような企業も法的には問題ないし、倫理的に…とも言い切れない問題だ。資本主義のルールには適法である。だからどうすることもできないのだが…ひたすらにモヤモヤしているのであった。
こういう広告が減る世の中になって欲しいなぁ…
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