前々回の記事では、主に「仕事」における消耗ポイントを解説した。
- 謝罪
- 時間に追われる
- 電話
この3つが主に気力を激しく消費する。
その中でまず、「謝罪」の対策を前回の記事で述べた。
続いて、「電話」の対策を本記事では紹介する。
なお、電話をクリアできると「時間に追われる」も解決する可能性が高いので、重要な部分と言える。
電話は格闘
電話とは格闘と同じようなものである。
リアルタイムで行われる、その場での一瞬一瞬、繰り広げられる会話の応酬。
肉体こそ動かさないが、精神同士をぶつかり合わせる格闘の一種だ。
相手の出方を予測しつつも、その予測が外れて思わぬところで焦ったりする。
思わぬ角度からの指摘に瞬時の判断が求められ、頭をフル回転させながら回答(反撃)する。
まさに格闘であろう。
これが疲れないわけがない。
もし次に電話があったときには「格闘」なのかどうかを確かめながら会話してみてほしい。
「あっこれ格闘だわ」と思うはずだ。
- 電話がかかってきた。「誰?」(電話番号がわからない場合、緊張感走る)
- どんな用件でかけてきたのか?(どんな攻撃が飛んでくるんだ?)
- 相手はどんなテンションか?(なんか怒っている場合特に緊張感走る)
- その場で即答が求められることなのか?
- 数字などのデータが多くないか?
- 日付や時刻などのデータもないか?
そうこれらの膨大な予測と、実際繰り出されるパンチによって、あなたがその場で答えるべき内容は変わる。
考える時間はほぼなく、その場、その場で瞬時に判断してパンチを打ち返す必要がある。
電話には緊張感が走っている。
さながら漫画「TOUGH」で猛者達が「パァンパァン」と拳を高速で打ち合うように、瞬きすら許されぬスピードで頭はフル回転しているのだ。
これは疲れる。
電話は、早い?
ただし電話には錯覚がある。
「電話した方が、はやい」
という錯覚だ。
確かに、電話して
「これってAかな?」と聞いたとして
相手が「いやBだよ」と答えてくれたら早いかもしれない。
特に、回答を早く知りたい時には電話は便利だ。
また、少々複雑な内容のことを説明する際にも、口頭での説明は伝えられる情報量が多いから
「まずはとりあえず電話で相談しよう」
という思考回路にもなりがちだ。
しかし!
本当に緊急の場合を除いて、できるだけメールやチャットツールなどで事前情報を入れてから、話した方が結果的に良い。
「メールした件ですが〜」は多くの時間を削減できる。
文字ツールは格闘の属性がない
電話は格闘であり、疲れると述べた。
対して、メールについて。
これは明らかに遠距離戦になる。
電話が近接戦闘とするならば、メールは海を隔ててミサイルを撃ち合うくらいの距離感になる。
メールというミサイルを作って、各所を点検して、問題なければ発射。ミサイル合戦。
相手からのミサイルも、まず着弾はするものの、その内容を確認して、こちらで調べるべきことを調べてから反撃を考えればよい。
このタイムラグがあるのが精神衛生上、とてもよい。気力の消耗を抑えられる。
電話のように即時の対応を強制されないので、気力は減りにくい。
また、数字や日付などもカタチとして残り、後で確認でき比較もしやすい。
「2019年の10月17日に2568個注文した商品Aが、
10月19日に遅延して数量は2514個しかなかった」
という内容を電話でやるなら、メモが必須だ。
そしてこれを、自分が相手に強要してしまっていないか?も本記事で提案したい部分である。
自分から掛けてしまう…?
できるだけ文字媒体(メール)を使って、遠距離ミサイル戦に持ち込みたい。
電話での近接戦闘は、メールでミサイル戦の前哨戦が終わって情報が入り切ってからのタイミングが良い。
メールの画面を見ながら電話すれば、とても早いし即時対応の数が減る。
僕はこの作戦を考案し、これで行きたいと思っていた。
思っていたのに、電話が減らなかった。
なぜだ?と思い振り返ると、実は
自分から掛けてしまっていると気がついた。
あれほど「電話は気力を使う」と声高に述べておいて、結局、自分から電話をかけてしまっていた。
オイオイ、それ自爆じゃないか、しかも相手に迷惑をかけているぞ、と反省した…
しかしながら、よく思い出すと、僕が電話かけてしまうのは、その前の起点の時点で僕に電話が来てしまうから、そうなっているのだと気がついた。
まず、僕に対して電話で問い合わせが来る。それを受ける。
そして確認事項が発生し、それを確認すべく担当者へ電話…という流れが多かった。
しかし実はこの案件、そこまで緊急ではなく、翌日中に回答できれば良い、くらいの内容であった。
そのような環境の中、なぜ僕が電話リレーを繋いでしまったかといえば、それはやはり、起点が電話だったからだ。
「電話=急ぎ」の方程式が無意識に根付いているために、電話が来た案件は即時対応しなければならないと反射的に行動していたのである。
この流れには意識的に逆らうことが必要だ。
電話リレーの流れを意図的に断ち切るのだ。
「流れ」を変える
- お客様から電話が来る。受ける。
- 自分が担当者に電話し、確認する。
- 確認した内容をお客様に電話し回答。
このように、これまでの慣習のままでいると、3回の電話がある。
これを1日に何セットもやると気力の消耗が大きくなるので、電話の回数を減らしたい。
そこで注意したいのは、起点の部分である。
最初のお客様からの問い合わせがメールであったなら、大きな問題ではない。
メールを受けた自分もまた、メールで担当者に質問し、回答を得て、それをお客様にメールで返信するはずだ。
一方で、起点が電話の場合は、そこからスイッチが入り全て電話での交信に引き込まれやすくなる。
この部分は無意識で行われる。
注意したい部分である。
ただし残念ながら、お客様に対し
「電話かけてくるのやめてくんね?」
とは言いにくい。
そのため最初の電話の受けは、致し方ないとする。
しかしながらその次の、自分から担当者への問い合わせの部分では、電話したくなる気持ちをぐっと抑えて、メールを選択する。ここが大切だ。
※緊急性はよくジャッジしよう。緊急なら電話もやむなし。
そうすれば担当者からはメールで返信がきて、それを基にさらにお客様にメールで回答ができる。
もしメアドがわからなくて致し方なく電話することになっても、電話の工程を1つ削減できる。
つまり電話格闘が1回減る。
これが大きい。
流れを変えるのが、大切なのだ。
お客様から電話でスタートした流れを、自分のところで受け止めて、メールに流れを変える。
なおこれを繰り返すと、察しのいいお客様はなるべくメールしてくるようになる。
こちらとしては「わかってくれたか」という感じだ。
電話に発生する副次的ロスタイム
先程、「電話は はやい」というイメージがあると述べた。
しかしながら、実際には気がつくと15分とか経っていたりする。
無駄な話に逸れたり、急ぎでない話をしてしまったり、実は効率が悪いこともある。
電話にはこれらのロスタイムがあるためによく検証すると時間を結構使ってしまう。
取り次ぎの事務員さんとの会話
携帯電話同士でない場合、お客様の会社に電話するとまず事務員さんが出る。
「はい、A工業でございます」
「私◯◯のヤコバシと申します。いつもお世話になっております」
「お世話になっております」
「△△様はいらっしゃいますか?」
「△△ですね。少々お待ちください」
(保留)
「お待たせ致しました。申し訳ありません、△△は今、席を外しておりまして、伝言を承りましょうか」
「それでは納期の件でお電話したという旨、お伝えいただけますでしょうか」
「納期の件ですね。承りました」
「お忙しいところありがとうございました。よろしくお願い致します。失礼致します」
「失礼致します」
これが意外と気力を使う。
また、この時間を甘く見て、電話を多用しているとロスタイムが増えて時間に追われる身になり、気力を消耗してしまう。
電話アイスブレイクが入る
アイスブレイクとは、打ち合わせの際に最初に使ういわゆる世間話であるが、これのショートバージョンが電話にも発生する。
「どうですか最近、荷動きの方は」
などと世間話を振ってくるお客様がいたりする。
もちろん本題にいきなり切り込むのがベストではある。
しかしやはり、そこは人間同士のコミュニケーションの特性なのだろう。
時事ネタや天候の話がまず最初に数分入って、そして本題へ移る。この様式美がなかなか崩せない。
特に人間関係ができているお客様(仲が良い)ほど、この雑談は発生してしまう。
「どうですか最近?ゴルフ行ってますか?」
なんて始まっちゃったときはもう…
そしてこういう会話は楽しくもあるので、ついつい話も弾んでしまい気がつくと10分経っていた、なんてことも起きる。
ここを強い気持ちで切っていく、というのは対人スキルに優れた人ほど難しい。
本題は5分で済むところ、計20分電話してしまうことは結構多い。
これのせいで「時間に追われる」が複合して、気力が減るのである(次回の記事で詳細)。
時短のカギはメールが握る
本記事をまとめる。
まず電話は格闘なので、その戦闘中には気力を激しく消耗する行為ということ。
次に、電話は意外と時間を食う要素が多いということ。
これを多用すると「時間に追われる」という気力損耗の要因となり、これと先述の電話格闘による気力の消耗を合わせると大きな被害がでてしまうということ。
次の記事ではこれらを踏まえて、「時間に追われる」に対する処方を提案していく。
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