ゴルフ記事です。今回は100%純度のオタク記事です。
マッスルバックアイアン
アイアンにはいろんな種類があります。その中で僕が愛用するのはマッスルバックアイアンという、アイアンの中では最もハードなスペックのものです。ヘッドが小さく、ロフト角は寝ています。装着シャフトは大体が重量スチール。主にプロゴルファーが使うアイアンであり、車でいうとF1カーのような難しい道具です。
では僕はそんなプロ並みの腕前を持つのか?というと、全然そんなことはありません。スコア90前後という、まぁ人に迷惑はかけないかなレベルであり、中級者にもなっていないレベルです。それでもマッスルを使うことは良いことがたくさんあります。
その他のアイアン
前項でマッスルバックは最も難しいと書きました。その他にはキャビティ、ポケットキャビティ、中空というタイプがあります。これらはミスに強く、スイングが洗練されていなくてもある程度の球が打てます。クラブに反発力もあるので飛びますし、シャフトも軽量スチールやカーボンでよくしなるものが刺さっています。
大半のアマチュアゴルファーは「ゼクシオ」というやさしい、簡単なアイアンを使っています。これはこれで良いと言えます。大して練習しなくても形になるからです。ガチ勢でない人はゼクシオを使ってラクにゴルフをすれば、周りに迷惑をかけることも減るでしょう。
先輩の教え
ではなぜ、僕はゼクシオを使わないのか。それは僕にゴルフを教えてくれた上手い先輩(アベレージスコア80台前半)に、「簡単なクラブでは上達できないから、あえてマッスルか、キャビティを使え。ポケットや中空は悪いスイングで固まるからやめとけ」と教わったからです。
最初は、よく意味もわからずキャビティを買いました。そして、全然ダメでした。7番アイアン(ロフト35°)は120yしか飛びませんでした(普通は150yほど)。これは僕のスイングが色々と間違っていたからです。
クラブが先生になる
僕はスクールに行きませんでした。我流とも言えません。著名なレッスンプロの書籍やDVD、youtubeで勉強し、練習を繰り返したタイプです。そんな中で、このハーフキャビティアイアンが僕の先生になりました。この先生は厳しいです。少しでもスイングがおかしいと、とたんに飛距離が落ちるし、真っ直ぐ飛びません。最初はかなりつらかったです。何度も何度も、ゼクシオにしようか悩みました。しかしそれはカッコ悪いなという自分自身の美学により、飛ばないのは自分のスイングがオカシイからだと見つめ直し、知識を増やし、練習に打ち込みました。
ようやく7番アイアンが140yほど飛ぶようになった頃、僕は中古屋でカッコいいマッスルバックアイアンに出会いました。テーラーメイドのツアープリファード2011マッスルバックです。しびれました。まず顔が小さい!僕が使っていたキャビティも小顔の部類でしたが、さらに小さい!これは僕のイメージなのですが、大きなフェイスは鋭く振れないイメージがあり、小顔を求めていたのでした。そしてマッスルというのは市場からの需要がありませんので6本セットで2万円でした。安い!持っていたキャビティはステンレス鋳造でした。ネットで調べると、軟鉄という素材で、鍛造という叩いて鍛える方式のアイアンは打感が良いとのことで、こちらにも興味がありました。
そしてそのマッスルバックを購入し、グリップを交換し、早速練習に行きました。最初の感想としては「なんだ、打てるじゃん」でした。7番アイアンで140yは変わらず。それより下の番手も打てました。ロフトもシャフト(DG-S200)も同じスペックだったので当たり前っちゃ当たり前でした。
しかし6番5番アイアンは全然打てません。明らかにヘロヘロ球で球威がなく、右に曲がります。ここから1年かけ練習と勉強を繰り返しました。マッスルバックアイアンは一切の容赦がありません。「ダメなスイングはダメ」と鏡のようにフィードバックをくれます。なんの忖度もありません。
マッスルバックアイアンの、特に5番アイアンからはスイングの要素が一つでも欠けると、ダメな症状が出ます。
- ダウンブロー(スピン量確保)
- インサイドからの入射(ドロー系)
- ハンドファースト(ロフトを立てる)
- シャフトのしなりを使う(飛距離)
- 芯に当てる
これのどれかが欠けると途端に飛距離ロスして曲がるのがマッスルの5番です。7番まではシャフトも短く、ロフトもあるので症状が軽いです。6番(31°)はギリギリ症状が出るか出ないか。5番(27°)は明らかに症状が出ます。
5番はコースで使わずともプレーできますし、僕も半年くらいはユーティリティ(25°)でごまかしながらプレーしていました。ですが、結局は未熟なスイングなので、7番とかもちょいちょいミスが出ます。安定感がないのです。これを改善するにはスイングの見直しが必要でした。
三觜先生のyoutubeに出会い、書籍を購入したところ、答えが見つかり、僕のスイングは大幅に改善しました。5番が打てるようになりました。7番も150y以上飛ぶようになり、安定感が増しました。三觜先生の教えについてはまた記事を書きたいと思います。
こうしてマッスルの5番を打てるようになった僕ですが、いろんな記事を読むうちに、プロもキャビティを使う選手が増えている、許容性を求めていると知りました。確かに僕もマッスル5番が打てるようにはなりましたが、ナイスショット率は100%ではありません。7番以下ならば自信はありますが、6番以上は確かに許容性があるとコースで安心できるなと思いました。
キャビティ使ってみた
こうして、プロモデルのハーフキャビティに手を出しました。マッスルと同じシリーズのキャビティです。早速練習場に行って打ってみました。すると…確かに許容性はあったのですが、打感が落ちました。6番5番と、補正能力は高かったです。「あっ、芯外したわ」「シャフトのタイミング合ってないわ」というときでもマイナス10yくらいで大きく曲がりません。しかし芯を捉えても、手に伝わってくる感触はマッスルのそれとは違いました。
そして僕はあらためて、マッスルの素晴らしさに気がつきました。僕はマッスル先生に鍛えられていく中で、「芯に当たったかどうか」を感じ取れるようになっていたことに気がつきました。マッスル先生の修行があったからこそ、ナイスショットの打感をこの手に覚えることができていたのです。
マッスルのナイスショットが刀で鋭くシュパっと斬ったような打感なのに対し、キャビティはナイスショットでも鈍器でぶっ叩いているような、ちょっとぼやけた打感でした。悪くないのですが、マッスルには劣ります。これはクラブの構造上仕方のないことだと思います。
よく、軟鉄鍛造のマッスルの打感は極上だと言われますが、その意味がわかりました。僕は今まで、マッスル先生と修行しながら、極上の打感を味わっていたのでした。キャビティ先生と接して、それが初めてわかりました。
同好の士を求めて
ゴルフが本当に好きな人たちがいます。そして、社長とか役員とか、そういう人ほどゴルフにガチです。時間もお金もあり、かつ社交の重要スキルであるゴルフに熱心なのは、彼らエクゼクティブにとっては必然とも言えましょう。そんな人たちはゼクシオは使いません。もちろんゼロではないですが、ゼクシオは逆に、スイングが良くなってくると合わなくなります。ゆえに上達志向になってくるとキャビティ、そしてマッスルに移行していくのです。
マッスルは難易度が上がりますから、スコアが伸びない時もあります。でもその難しさに挑戦することに楽しさを見出しているようにも感じます。上達志向のある人ほど、簡単な道具でなく、あえて難しい道具を選びます。そして何より、マッスルバックアイアンは美しいのです。その造形が美しい。この魅力に取り憑かれた人はマッスル先生にOKをもらえるようなスイングを身につけるための勉強と練習が始まります。自分のスイングを高めることでしか、マッスル先生は微笑えんでくれません。そして報酬は極上の打感。
ゴルファーには多少の見栄がありますが、でもそんなものはサブ要素でしかありません。難しいクラブで良いスコアを出すという行為、その向上心がモチベーションになります。そしてその考えを持つもの同士は引き合います。同好の士といえるでしょう。僕もこの変態的なゴルフスタイルで、同好の士を探していきたいと思います。
今後のセッティング
今後、どのようなセッティングにするか、ちょっと悩んでいます。おそらく、マッスルでも6番まではナイスショット率高くコースでも打てると思いますが、5番はちょっと不安があります。そのため、打感はもう諦めて、許容性重視で5番だけキャビティを投入しようと思っています。それは次回のラウンドで検証してみます。
(2020.4.28追記)ドライバー編を書きました→ドライバー遍歴その1
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