聖帝サウザー師匠の白熱教室、チャケウピーさん編を聴いた。
この記事はまだレビュー記事ではないのだが、まず最初に感じたことを書き残しておく。
「コンプレックスがない」
本作の終盤ではコンプレックスについての話題が繰り広げられる。
これは「不動産事業をやる人は、お金がないというコンプレックスが強烈にあるから、本気で取り組める」という内容だった。
子供が多くてお金が足りない、高卒のため給与水準が低い、実家が貧しい、などの理由があって、その解消を目指す心が燃料になるという。
類似で、異性にモテなかった、学生時代に遊べなかったというコンプレックスも解消を目指してナンパやマッチングアプリに熱を上げたり、キャバクラで豪遊したりする…という人もいる。
この話を聞いて、私は2つのことを思い出した。
「渇けない世代」
これは聖帝サウザー白熱教室のマスターゴッホ編で話題に上がるのだが、今の30代は「渇けない世代」だという。
昭和末期〜平成初期に生まれた世代は最初からモノが揃っていたし文化が成熟していたために、わかりやすい物欲や意欲が湧きにくい。わかりやすい渇望がない。
それを表現した呼称だ。
具体的に言えば、高級車に乗りたいとか、高級レストランに行きたいとか、美女を抱きたい、ブランド物を身につけて周りに見せたいといったような、わかりやすい物欲や性欲、自己顕示欲が湧いてこないということだ。
これは平成の世が、実は豊かだったということを示している。
昭和の戦後のように食うに困るようなこともなくなった。
チェーン飲食店、ユニクロ、ニトリ等の格安の衣食住が登場した。
さらには安価な娯楽(インターネット、ゲーム)も出現した。
地方においても、それまで都会でしか手に入らなかった商品サービスが進出してきたり、通販も発達して、いよいよ日本人は何かに渇くーー渇望する、ということはほぼ無くなったように思う。
「10代の頃の渇望を引きずる」
もうひとつ、これはプロ奢られヤー氏のツイートだ。
5000人に奢られて分かったこと
・たいていのひとは「10代のころに渇望していたこと」への欲を拗らせたまま生きてる
— プロ奢ラレヤー (奢られ日記) (@philosopium) November 4, 2022
5000人に奢られて分かったこと
・たいていのひとは「10代のころに渇望していたこと」への欲を拗らせたまま生きてる
渇望していたこと=コンプレックスで、悩んでいたことだ。
そして本作、白熱教室の本編終盤では、コンプレックスは大きくカネ・オンナ・学歴に収斂されるとしている。
特に学歴は、カネとオンナをクリアしたとしてもなかなか解消しきれないものだという。
カネやオンナは、稼いだり、結婚することで成仏させることができるのかもしれない。
※結婚生活が順調かはまた別だが。
ライオン、トラ、クマ、サメなど危険と言われる動物は腹が減ってるから獲物を襲うのだという。
当たり前のことだが、逆に言えば、腹が減っていなければ無用な戦いはしないということでもある。
私達人間も、コンプレックスという渇きやストレスからの回避欲求によって内側から駆り立てられて行動をすることが多い。
さて自分はどうなのか、考えた。
自分の半生を振り返ると、大きなコンプレックスはあまり無かったし、また多少あっても、立ち向かって戦うことで改善でき、成仏させることに成功してきた。
私の学歴は文系MARCHということで、ものすごく良いとは言えないが、卑屈になることもない学歴だ。
異性モテも悪くなかったし、結婚もできた。
カネも、ブラック勤務時は年収330万とかだったが化学メーカーに転職して平均以上になた。
大金持ちではないが、ひとまず困ってはいない。
聖帝サウザー師匠の教えもあり、新築の家・新車・結婚式も回避できた。
職場でもEX勤め人ルートに入ったので雑に扱われず、兵隊的な仕事も減って、苦しゅうなくなった。
ゴルフも安定して90台で回れるようになったのでビビることもない。
こうして現状を鑑みると…コンプレックスが、特に思い当たらないな…というのが正直なところだ。
5年ほど前には、団塊の世代の上司の考え方がキライすぎて「バカの下で働きたくない」と怒り狂ったりもした。
しかし今思うと、あの時の上司は私を軽く扱っていて、それがキライだったのだと思う。
当時の私は20代中盤で、そりゃあ…軽く扱うわな、という年齢だった。
新入社員に毛が生えた程度だもの。
実際、実力もなかったから軽く扱われるのは当然だ。
『人を動かす』によれば、人は自己重要感を渇望していて、そのためにあらゆる行動をしているという。
コンプレックスは、自己重要感を欠損させるものだから、やはりこれらは密接につながっているのだろう。
先述の若き頃の私が、当時の上司にムカついていたのは自己重要感を傷つけられたからだ。
その軽く扱われる状態がストレス、コンプレックスになっていたのだと思う。
しかしそれが今やなくなって(その上司が定年で引退した)、むしろ重用されるEX勤め人になった今、特に思い浮かぶコンプレックスや渇望がない。
お金の自由、時間の自由は無いっちゃ無いが、特に苦労もしていないという状況だ。
厳しくも慈愛を感じる指摘
本作、チャケウピーさん編では「勤め人卒業についてどう思うか?」という問いが為される。
それに対してチャケウピーさんは
「辞めた後、特にやりたいことが決まっていないなら、勤めていた方がいいです」
と言う。
この言葉には前段があって、独立自営でやっていくには外部環境、市場の環境変化にうまく対応し続けていかなければならないという部分がある。
例えば不景気になって高級品が売れなくなったり、ファッションの流行が変わってしまったり、得意としていた仕入れ先がなくなってしまうようなことだ。
直近の例で言えば流行病のパンデミックなどだ。
この世は自分でコントロールできないことが多い。
独立自営になった場合、その変化に文句や愚痴を言っても事態は好転しない。
ただその変化に対応して、知恵を絞って活路を切り開く努力をするしかない。
チャケウピーさんの経験では、このような大きな変化に対応して生き残れるのは20人に1人程度だという。
このような背景をもって、チャケウピーさんは「目的がないなら勤めておいた方が良い」という。
では本作の存在意義はなんなのか?といえば、やはりそれは「不動産によってカネの不安や心配から解放されよう」ということであろう。
作中では「サラリーマンにおすすめできる副業は?」という問いがなされる。
転売や輸入代行など経験してきたチャケウピーさんなので、転売かなと思いきや「不動産。不動産一択ですね」と力強く即答した。
よく、副業界隈ではアフィリエイトをはじめ、株式投資、転売や物販、コンテンツ販売、イベントビジネス等からスタートして、種銭を貯めて不動産へ移行しようという論が為される。
しかしチャケウピーさんは「不動産が最大効率」と迷いなく言う。
というのも、たとえ転売が高利益率ーー500円で仕入れて1,000円で売って利益率50%だとしても、その絶対額が少ない。
対して不動産は、5,000万の物件を5,500万で売れば単純計算で利益率10%でも諸経費を差し引いても数百万の利益となる。
これを「ロットが大きい」と表現している。
もしこの数百万円を先述の1,000円の物での転売で達成するなら1万回近い回数をこなさなければならない。
しかし「種銭が…」という意見も湧いてくるが、それに対してはチャケウピーさんは「甘えているだけ」と一蹴する。
本作においては、地域や諸条件にもよるが種銭として自己資金1,000万円があれば銀行融資を引いての吉川メソッドを始められると提案している。
地域によっては500万円でも可能であると。
ではこの500万円でのスタートをするときに、500万をかき集める努力をしているのか?とチャケウピーさんは多くのワナビーに接したなかで感じたという。
自分で貯めた貯金が2年で200万円だとする。
100万円/年の貯金だ。
では目標の500万円貯めるにはあと3年かかるということになるがチャケウピーさんは「残300万円は親族から借り集めれば良いじゃないか」という。
必死に卒業を目指すのであれば、事業計画を綿密に組み、自分が年間100万円を貯金してきた通帳を見せ、しっかり事業の有効性を説明して親族から300万円を集める。
これで500万を作って先に進めるではないか、と。
別に親族でなくても良い。
ご近所さんでも、飲み屋で知り合った社長でもいい。
本当に独立自営したいなら、本気で不動産に取り組みたいならばできるはずだとチャケウピーさんは言う。
これができない人というのはつまり、独立自営への熱意がなく、結局は勤め人を辞めてもロクな人生にならないから「勤め人をしてた方がいいんじゃないですか」と言うのだ。
これは蔑みでも、侮りでもなくて、独立自営の厳しさ難しさと、それに連なる不幸を知っているチャケウピーさんだからこそ出てくる思いやりーーやさしさの言葉だ。
自由は死と隣り合わせ
野に放たれた獣は、自由だ。
しかしその自由は、いつも死と隣り合わせの自由でもある。
花の慶次の1巻でも、傾奇者に憧れる若者が、傾奇者の振る舞いをしたために斬り殺されるシーンがある。そこで若者は慶次に力なく笑いながら今際の際にこう言った。
「意地を張り通す自由は……
斬り殺される自由と背中合わせ…
そんなことも…
知らなかった…」
獣たちが殺し殺される場で戦い続ける自信はあるか、そしてその生き方を選択するのか。
今、現況に大した不満がない私、ハラが空いてない私はひとまず、金を貯めることに集中していこうと思う。原資があれば取れる手段もまた変わる。
チャケウピーさんも「まずは1,000万つくれ」と言っていたから、生活防衛費の貯金を踏まえてからの1,000万の貯金を作ることをターゲットにすることにした。
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