作業と仕事

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雇われ人卒業

僕は営業マンなのだが、日々の中で作業と仕事の違いについて感じたことを共有する。結論としては、仕事とはクリエイティビティを発揮し、利益や価値を生み出すこと。作業とはそれ以外の雑務、体を動かせば終わる類のことを指す。

作業

一般的に「作業」とは手作業で何かを作ったり、仕分けしたりする、単純労働をイメージする。

それは、その通りだ。かつて僕もそうだったのだが、一般的に「仕事」と言われるものも、実は作業であることが多い。その作業を頑張っていると、仕事を頑張っていると錯覚してしまう。

僕は「作業」とはこの2つだと思う。

  • 上長から具体的に指示されるもの
  • 自分の守備範囲と決められているもの

まず、上長から指示されるもの。例えば「この資料、10部にコピーしてホチキスで留めておいて」は典型的に作業だし、「この製品、廃番の処理をしておいて」も作業だ。

次に自分の守備範囲は、お客様からの問い合わせに対応することや、他部署からの質問に回答することだ。自分が割り振られた職場において、その守備範囲に降ってきたボールはキャッチしなくてはならないのは当然のことだ。

だが、これらは体を動かせば、いつかは完了できる。そして、これらの作業をこなすことは仕事をした気になる。僕もそうだった。指示されたことをやるんだから、当然の感想だと思う。だが、僕がこの記事で言いたのは、こういう作業ばかりをしていくと、いずれは不要な存在になってしまうということだ。

仕事

冒頭でも述べた通り、僕が思う「仕事」とは、利益や価値を創造する行為を指す。営業マンならばわかりやすいが、新規開拓をする、値上げをする、新しい商品やサービスを考案する、などだ。バックオフィスの仕事なら、安く買う方法とか、社内業務をより効率化できる仕組みやソフト、現場作業ならば工程を見直したり道具などを工夫して時間短縮をするような行為があたる。時間を稼ぎだす(時間短縮する)は人件費を減らすことにつながるから、立派な利益確保行動で、仕事だ。

そして、これらの「作業」ではない「仕事」は脳を酷使する。どうやったら売れるのか、気に入ってもらえるのか、どうやったらもっと時短ができるのか、というように常に考えていなければ、アイディアは湧かない。そもそも、そういう考え方をしていないと、脳を使うという姿勢にならない。なぜなら、会社には多くの作業が用意されているからだ。

先述の作業をたくさんこなしていると、なんだか「仕事頑張ったなあ!」という気分になる。僕もそうだったから、よくわかる。でもこれは、本質的にはバイトと同じだ。与えられた、自分の守備範囲の作業をこなしただけで、価値や利益を創造していない。ベルトコンベアに流れてきた作業をこなしただけだ。言ってしまえば、誰でもできることだ。人件費は安い方がいいから、新人や外国人と賃金競争をしなくてはならない日が来てしまうだろう。

もちろん、熟練しているあなたの方が素早く、高品質にさばけるだろう。しかし数年経ったら新人でも一人前になり、遜色ない成果が出せるようなものは、やはり作業だ。いくらうまくなっても、すぐに天井にたどり着いてしまう。それが作業だ。

営業における作業

営業マンだからといって、この作業と無縁なわけではない。営業マンにも作業はある。例えば、僕は化学メーカーに勤めているのだが、会社からは「優秀な店番」としての働きを第一に求められている。既に大小さまざまなユーザーがいるので、日々、質問や要望の電話やメールが来る。これにしっかり対応することが求められる。

「XXがXX個足りないから明日までに届けて欲しい」

「この物質はXXという法律に適合していますか」

「XXという商品、こういうところを改善できないか」

こんな問い合わせが、津々浦々から毎日たくさん来る。それにしっかり対応して、クレームを出さないこと。これがまず求められる役割、「店番」だ。これは駄菓子屋の店番と本質は変わらない。「これいくら?」「酸っぱいキャンディーない?」「アタリが出たんだけど」と聞かれているのと同じだ。

そして繰り返すが、このような店番行為も意識していないと、「今日も仕事頑張ったなあ!」と思ってしまうのだ。

ちなみに今日の僕はこれだった。目の前にふってきた、僕の守備範囲の作業をしただけ。何も利益や価値を生み出していない、ただの店番だった。

まあ、会社としてはそれで十分なのだが、僕という個人とっては、ただ労働力と時間を切り売りした日になってしまった。

営業における仕事

僕は現職においても「仕事」をしたいと思っている。仕事をして、新たな商品、顧客を創造し、自社に利益をもたらしたい。僕は社畜ではなく、会社という船に乗っている、いち船員だと思っている。船が沈没したら困るし、船の中で頼りにされたい。この船を大きく立派にする手伝いをしたいと思っている。その過程の中で、自分にノウハウが蓄積し、実績を作れたら、それは僕自身の財産になる。

会社の信用、設備、人員を使って「仕事」をする。価値と利益を創造する。結果として、会社も僕も何かを得られる。

僕はいずれ雇われ人を卒業したいと志すが、それは簡単ではない事もこの半年で学んだ。それまでは、この船にご厄介になるのだから“使える”船員でいたい。これは僕の美学で自己満足だ。

今、自社は踊り場にいると考えている。既に確立された既存商品たちは息の長い、プロダクトサイクルが長い、優秀な商品たちだ。微減している分野もあるが、その分微増している分野もある。僕は、これらの枠組みからちょっと離れたところで、新たな稼ぎ頭の柱を作れないか、もがいている。もちろん簡単ではなく、何ヶ月も考え、情報収集し、文献を漁り、トライして失敗しながら方向修正している。

この「もがき」こそが「仕事」なのだと思う。このスピリットがない上司は「時間の無駄になるからやめろ」というが、本当に仕事のできる幹部役員の人は「それ将来性あるね、面白いじゃないか、もっとやれ」と応援してくれる。

短期的には「作業」が重視されるだろうが、僕らはもっと「仕事」をすべきだ。こういう意味での「仕事」はAIには代替が難しいし、後進の参入障壁も高い。

そしてどんな企業も「仕事」ができる人を求めている。自分に力をつけるとはこういうことなのだと僕は考えている。

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