ネットサイエンティストの淘汰

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日記
僕はネット社会は、村社会へ戻っていくと述べた(「村」への回帰)。その過程の中で、なぜ村へ回帰することになったのか、考えを深めたのでお話ししたい。

ネットは自然現象ではない

今ネット界隈で叩かれている古参の人達は、インターネットをサイエンスしすぎた人達だと思う。サイエンスとは日本語で「科学」。科学とは自然現象を、法則を駆使して解き明かすことだ。例えば、農業はサイエンスだ。この種類の栄養素を肥料として与え、このくらいの温度で、水と光を与えると、おいしい野菜ができる、という経験知そのものが、まさにサイエンスだ。人々はサイエンスを駆使して豊かな生活を作り出してきた。
食べ物だけではなく、金属を精製したり、それを機械にするのもサイエンスだし、船を作ったりするのもサイエンスだ。
そしてネット黎明期にも、そのサイエンスが有効だった。ネットにおけるサイエンスとは、閲覧数を集めたり、広告をだしたり物を売ることだ。人間を心理学でサイエンスして、誘導して利益につなげる事ができた。
だが、この規模がだんだん大きくなり、サイエンスをやりすぎてしまうと、人間がただの数字にしか見えなくなってしまうのではないだろうか。数字というか、動物のような、操れば誘導できるような存在、自然現象のように見えてきてしまうのではないだろうか。
実際、僕もそのかけらを味わった事があるから、ちょっとわかる。それは、バズった記事に続編を書き足す事や、ツイッターで著名人にRTしてもらうとPVが跳ね上がるというテクニックで、これを繰り返していたら、サイエンスになっていくなと感じたのだった。幸い(?)僕は長続きしなかったのでサイエンティストにならないうちに気がついた。

画面の向こう側

この記事を読んでくれているあなたは、もちろん一人の人間だ。ロボットではないし、知恵のない動物でもない。物理法則や自然現象には心がないが、ネットの向こう側には心を、感情を持った一人のヒトがいる。このことを忘れてサイエンスしてしまうと、その意図が透けて見えてしまう。それを僕は自分の体験からわかってきた。
「あぁ、このヒトはこれを売りたいんだな」
こうやって挑発してPVを稼ごうとしているんだな」
と感じるようになった。これは僕がスレてしまったということなのであるが、同じように感じている人も多いのではないだろうか。だから、とても長い商品紹介ページをみるとウンザリするし、ポジショントークで推奨された製品も、広告・アフィリエイトなのね、と冷ややかな目で見てしまう。そうして、そういうことを繰り返す人を僕は信用しなくなった。
iPhoneの日本上陸から約9年、その月日により、日本人のネットリテラシーや経験値は一定の水準に高まったと言えるだろう。

ドライバーを受けている

ではなぜ、ネットサイエンティスト達は上記のような事をしてしまうのだろうか。僕なりに考えた。
それは収益というドライバーを受けているから、辞められないのだと思う。ドライバーとは、駆り立てるという意味の動詞driveから来ている用語だ。
収益というドライバーによって、ネットサイエンティスト達は駆り立てられている。なぜ駆り立てられているのかというと、彼らはそれが専業だからだ。ネットをサイエンスし、収益を得る事が彼らのナリワイだから、やらざるを得ないのだ。
僕がいいな、と思っているネット芸人の人たちは、ネット以外のオフラインでの収益ソースを持っている。もちろん、ネットでも稼いではいるのであるが、メインではない。むしろサブだ。そういう人達はカネに困っていないから、ネットでサイエンスする必要もないし、ドライブされていないから、無茶なこともしない。無茶なこととはしつこい広告や必要以上に煽る文章だ。これらはサイエンスを利用して無茶をしていると僕は感じている。本来なら、しなくていいのに、やっているような事だ。
おそらく、10年前はみんなスレてなかったからこれらのサイエンスは通用していた。それを今でも同じ方法でやり続けているのが問題なんだと思う。みんな、騙されたり嫌な思いを繰り返していくうちに、嫌でも学習した結果が、今なのだ。ゆえにもうかつてのサイエンスは通用しない。

収支報告、なぜ不快

僕もブログを始めたばかりのころ、著名なブロガーさんたちをツイッターでフォローした。そして月初には「~~PV達成!~~万円の報酬確定!」と書いていてすげぇな!と思っていた。でもなんだか、何回も見ているとだんだんウザくなってきたというか、おかしくね?と思うようにもなってきた。収益を上げている事なんて、なぜ人に言うのだろうか。しかも具体的に。
で、よくよく見ていくとプロフィールに「~ヶ月で~万円達成!そのノウハウ公開します→有料note」みたいなパターンがほとんどだった。なんだ、要するにこれを売りたいのね、とわかってしまった。自分を権威付けするには最も手っ取り早い方法だ。別に違法性も何もないが、なんだか急に気持ち悪い存在に見えてしまって、僕はそのときからそういう人たちをフォロー解除した。
なんだか、インターネットにはカネにとりつかれた人たちで溢れてしまっているようだ。この人たちも、サイエンティストだ。実績を作り、自分を権威付けして、有料情報を売る。それに引き寄せられた人たちに課金してもらう。儲け。以上。
別にそれは悪くない。でも気持ち悪いなと個人的に思っているだけだ。

まずいハンバーグ屋の末路

かつて、有料noteを高額で売っている人に意見した人がいた。それに対して「別に買う買わないは自己責任だし、情報の価値は人による」とそのnote販売者は答えていた。まったく正論である。有料noteは自分で価格設定ができるし、購入者も納得して買うのだ。強制も何もない。また、情報の価値など人によるのは当たり前だし、正統な値段を付ける方法もない。
これは、ハンバーグ屋でたとえることができる。看板が綺麗で、店構えもしっかりしているお店がある。メニューが外の看板にあり、ハンバーグセット1,200円と明記されている。初めてのお店だから、とりあえず入ってみよう!と思い入店する。すると出てきたハンバーグが、全然おいしくなかった、というか自分の舌に合わなかった。それでも1,200円を支払って退店。まずいから安くしろなんて言えない。自分で注文して、食べちゃったのだから。もう次回からはやめとこう、と思うのみである。
有料noteも全く同じだ。それまで培った信用、もしくは初めてで正体不明ゆえに、初回を買ってもらえる。それが面白くなかった、もしくは値段に見合う価値を感じてもらえなかったら、次回から買われない、というだけなのだ。
別に詐欺でも、犯罪行為でもない。強制もしていない。だが次回から買われることはない。それだけだ。それは繰り返される。新しい商品を出すたびに、ジャッジされる。つまらないなと思われたら次はない。それだけのことなんだ。
でもなんだか、ネットサイエンティストたちにはこの視点がないように僕は感じている。

ボーナスステージ終了

ネットサイエンティストたちは、何度も何度も、大きくバズってきた経験がある。しかしそれはここ数年の、スマホ普及直後のボーナスステージだったというだけだ。ここで勘違いをしてしまったサイエンティスト達が、今、危機に瀕している。ボーナスステージが終わったのは、皆が知恵を付けてしまったということだ。
だから、これから求められているのは身の丈にあった、地に足の着いた活動をする人なんだろう。自分を盛って大きく見せて、商材を買ってもらおうというのは、別に違法でもなんでもないが、自然淘汰からは逃れられない。誰の悪意もない。ただただ、自然淘汰されるだけだ。
こうしてネットサイエンティストが干からびていく中で、お金に困っていない層が、インターネット本来の姿を取り戻すのだと僕は見ている。本来の姿とは、人々が信用関係で構築する人間関係である。そこには本来、金稼ぎは好ましくないものだ。サイエンスしてハックするのは好まれない環境だ。ゆえに、淘汰されるべきものは淘汰される運命にある。

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