お客様がお金を出す順番

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雇われ人卒業

前回の記事に続き、商売をしていくにあたって、収益を得る方法について考えていく。

モノやサービスを作っても、それらが売れなければ意味はない。

「売る」ということを考える時には、「買う」側の人、つまりお客様について考えることが必要だ。

お金を出す順番:個人編

僕は研究を続けていく中で、自分も含め、人々にはお金を出す順序があることに気がついた。

それを分類していく。

本当に必須のもの

まずは身の安全・生命の維持にお金が使われる。当たり前のことだ。

そしてここに「部屋レンタル代」が入る。

その「レンタル代」をいくらまで出すか、どの程度重視するかはもちろんその人の考え方次第というところであるが、実家住みでない限り、部屋レンタル代は発生する。

次に光熱費と通信費がくる。

いわゆる固定費だ。

そして最低限の食費。切り詰めて1人なら2万/月くらいが現実的か。

そして衣服。

ここまでのお金は生存していくのに必要なお金。

文字通り「生活費」。

まさに必要経費であり、削減することは難しく、できても限度がある。

「個人」の追加的費用

この次のステージとして、娯楽や快適を求めるお金が発生する。

やや優先される追加的費用である。

  • カップラーメンだけでなく野菜や肉を自炊して食べる
  • エアコンを付ける
  • 新しい服
  • スペックが中程度のPC
  • 毎月歯医者に通って定期検診を受ける

などである。

この追加的費用に関しては個々人の価値観が反映されるので、一概には言えないところではある。

健康寿命を重視するのか、作業の快適さと時間がかかるのか…等、個々人の「価値観」という天秤にかけて、どちらを優先するのか。

そしてそのバランスの度合いについては、各々によって違う。

また実際には、可処分所得つまりフトコロ事情も関わってくるだろう。

以上は「個人」のプライベートな消費にスポットを当てたが、もちろん「法人」の消費もある。

お金を出す順番:法人編

法人の消費にも、優先度の高い必要経費と、緊急性のない追加的な経費がある。

法人に必須の費用

法人にとって優先度が高い・必須な経費とは、まず会社運営に必須の会計業務などから始まり、個人と同じように家賃や光熱・通信費の固定費がある。

生産活動を行う会社ならば、そのための材料や設備、オペレーターの確保なども含まれる。

次に個人と異なる部分として、社会的責任のための費用が発生する。

社会的責任のための費用とは、安全性や、それを保証・証明するための仕組みである。

例えば、建物は耐震補強をしたり、その点検を定期的に行うなど、人命に関わる「安全」のための費用である。

またはトイレやエアコンの更新など、最低限のクオリティが要求される部分で必須の設備のための費用もこれにあたる。

もしくは商売をやっていく上で考えられるリスクに対する保険もある。

要するに「これは、やらなくてはいけないよね」という類のもので、中には遵守しなければ法律違反になってしまう項目もある。

要するに「ケチれない」費用である。

そのため、必須の費用が個人と比べると多くなるのだ。

「法人」の追加的優先費用

そしてここから先に、業務遂行上に有効で、優先される費用がある。

従業員が効率的に業務できるよう便利な備品を揃えたり、お客様のために内装を綺麗にしたりする費用だ。

この費用は、極限まで切り詰めようと思ったら切り詰めることができる費用でもある。

トイレが男女共用でウォシュレットがなくても、ひとまず用は足せる(大不評まちがいなし!)。

内装の壁紙が経年劣化で真っ黄色になっていてボロくてお客様に良い印象を持ってもらえなくても、ひとまず仕事はできる。

PCが最新でなくても、処理が遅くても、なんとか仕事はできる。

これも大不評を買うが、最悪FAXと電話という昭和スタイルでも、仕事はできなくはない。

これらは事実上、業務遂行が困難になったり、マイナスの面が大きすぎるのでお金があれば優先して投資される費用になりやすい。

不快や不便を取り除く費用は優先度が高めである。

「法人」の非緊急性の費用

法人においてはその次に、広告宣伝費がくる。

広告宣伝は、新規顧客を得たり、既存顧客のロイヤリティを高めるための費用であるが、とはいえ必須の費用とは言い難い。

また、社員の採用活動などもこれにあたる。

そのためまずコストカットの対象になりやすいが、広告が顧客流入のメインチャネルである場合は必要経費であることもあるが、それでもやはり、最優先とされる費用ではない。

最後の支出:見栄

そして最後に来るのが「見栄」の費用だ。

内装を通常のクオリティより上げたり、細かなところまで良い物を使うというこだわりや、

本業に関係のない部分でお金を使うことも含まれる。

  • 超高層ビルの上層階に入居する
  • 応接室に絵画を置く
  • お客様に出すコーヒーカップを陶器の良いものにする
  • 募金・寄付などの社会福祉活動

これらのことを指す。

要するにかなりの余裕がないとできないことだ。

むしろお客様からは

「そんなことにお金使うなら商品安くしてくれよ、そんなに儲かっているのかよ」

と反感すら買う支出と言える。

僕は前職のブラック企業で扱っていた商材に「見栄」を重視するものがあったので、このことがよくわかる。

その商材は、建築関連で、主に大型ビルに使用するものであった。

そして完全に「見栄」としか言えないものであった。

大型ビルというのは、まず耐震性の確保など安全性が必須の項目となり、火災への対策やライフラインのメンテナンスなどが必要な経費となる。当たり前だ。

そして次に、設備(トイレなど)のグレードアップ、内装のメンテナンスが優先的に求められていく。

不快や不便を取り除く、優先度の高い費用だ。

そして、それでも余った予算が「見栄」へお金が回ってくる。最後の最後である。

トイレが古いのに、「見栄」にお金が回るはずはない。

僕がブラック的な働き方をしていたのは、このように「売れにくい」商材を頑張って売っていたからである。

これがもし、耐震のために有効とか、ビルの運営上必須の物品などを扱っていたならあんなに大変ではなかったと思う。

要するに必要でない商品は、売るのが大変なのだ。特に不景気の時には…

「不動産」への収斂

このように個人と法人の支出を分析していくと、お金が出してもらいやすい部分と、難しい部分があることに気がつく。

要するに「必要性・緊急性」がある項目は、当然ながら売れやすい。

例えば食費はゼロにはできないが、書籍で勉強する費用は中古を買ったり、図書館で借りて削減したりできるし、本を読まなくても死にはしない。

腕時計も緊急性はなく、最悪100均の時計でも用は足りるのである。

これらは極論である。

しかし程度の差こそあれ、ロレックスではなく国産ノーブランドの時計になることは自然なことだ。

つまりこういった見栄の分野、追加的費用を狙うというのは苦しい戦いになる。

ただし、超富裕層に向けた超こだわりの逸品ならば可能性はあるが、それはそれで高度な技術や仕入れが要る。

そして「売る」の形態では常に新作を作り続けて、売り歩く必要があるので、気は楽ではない。

来月の見込みが不透明なのが怖い。

また可能であれば、個人ではなく法人を相手にした商売をした方が良い。

消費性向が異なるし、「経費」に計上できるか否かは大きい。

まとめ:優先度が高くて「貸す」商売とは

長くなってしまったが、これらを統合しよう。

  • 必要性が高い商品
  • 高額な「貸す」型の商品

この2点を満たすものは「住居」「事務所」となる。そう不動産だ。

住居は買おうとしたら高額なので、実家住みでない場合にはレンタルで借りるしかない。

そして不動産の賃貸は、退去がない限り来月、再来月と見込みが立てやすい。

この特性ゆえに不動産業は堅いのである。

また個人向けは住居となるが、法人向けにはテナント貸しとなり、事業の経費となる。

高額な物を、レンタルに出していく。

この仕組みがとても強いので、不動産の事業は、特性が良い。

ただし聖帝サウザー師匠に出会うまでの僕は、築古戸建ての大家さんになるという発想はなかった。

中古アパートしかないと思っていた。

それは僕に「戸建てを借りよう」という発想がそれまではなかったからだ。

長くなってきたので次回へ続く。

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