本業の化学メーカー営業が急に忙しくなってきてしまい、サボってブログ執筆ができず、フラストレーション溜まりまくりな最近。それは僕という営業マンがモテのスパイラルに入ったからだと気が付いたので今日もキーボードに叩きつけることにした。
結論としては、化学メーカーは積み上げが効きやすいからおすすめ!という話。
知識の土台=自社知識
僕は現職に就いて5年が経った。僕は文系だったので化学についてはこの会社に入ってから学び始めた。とはいえ、僕自体は大して化学のスペシャリストになったわけではない。「コーヒーには砂糖を入れると甘くなりますよ」みたいな、物質と効果を覚えていっただけだ。
いまだに構造式とかモルとかはイミフだ。ただ、扱っている化学物質の「よくあるQ&A」は2年くらいで覚えたから、最初の方はなかなか勉強した…というか研究員に聞いたり、ネットで調べたりした。
「こういう質問がきたら、この人に聞こう」程度の知識、いわゆるトランザクション・メモリーがあれば十分だ。これも含めて、一定の実力という知識の土台ができた。
ケーススタディ=顧客知識
前項の知識の土台は自社および製品についての知識だ。これだけでは良い提案はできない。お客様が抱えている問題をなんとかできるから、自社の商品は売れる。
例えば、
- 製品の性能アップのため
- 競争のため原料費を抑える
- 製造スピードをあげてコストカット
- 今年から規制物質が追加された
- 高級グレードの開発
などなど…お客様は何かに困っている。お客様もサラリーマンとして成果を出さなくてはならないからだ。
それに使えるケーススタディを僕はこの5年で浴び続けた。結果、大抵の新規顧客に対して
「その症状はこういう添加剤を入れたらおさまりますよ」
「効率を上げるならこの性質をこっち方面に持っていったら良かったことがありました」
「これとこれを混ぜるとダメです。対策するなら〜」
とか、なんだかお医者さんみたいになってきた。積み上げが確実に効いている。
頼れる営業へ
このお医者さんスタイルは特に新規顧客に有効で、僕を頼りにしてくれるようになった。当たり前のことと思うかもしれないが、こういう対応をする同業他社の営業マンは少ないとお客様たちは言う。なぜなら、特に大企業の化学メーカーは、新人が数年担当してはまた次の新人が担当するといったように、新陳代謝が早すぎて営業マンに知識がないらしい。かといってすぐに研究員が出てくることもなく、あまり頼りにならないらしい。
また、年配の営業マンは実はあまり詳しくなくて、研究部に丸投げパターンが多く、やはり頼りにならないらしい。そういや僕の会社もオジサンたちはそんな感じだ。以前、僕が勉強していたら「オマエ、俺たちは営業なんだからそんなの勉強しなくていいんだよ。研究に振ればいいんだよ」と嫌味を言ってきた記憶がある。僕はそれはオカシイだろと思い全シカトして勉強した。ガード前進である。
僕は、お客様が困っていたら見捨てておけない性格だったので、最初の2年目くらいまでは、何かを相談されたら、研究員に聞いてまわっていた。必ずしも解決できないこともあった。できないことを知ることも大切だ。これが大きな蓄積になったのだと思う。あとはサンプルを速攻で出すとか、なるべく安くしてやったりとか、お客様に協力して、仲間になろうと努力した。それが花開いて咲き乱れているのが今なのだ。
塩対応
こうして、新規顧客に親切に向き合った結果、よく電話やメールがくるようになった。以前はヒマだったのでよく訪問していたが、僕はこの記事で書いている通り雇われ営業マンは限界あるだろと思っているので、それほど頑張らないフェイズに入ってきた。ゆえに訪問という時間のかかる行為はせずに電話やメールで対応していた。昔の僕からしたら塩対応である。
その塩対応によりシビレをきらしたお客様は「また近く寄ったらウチにもきてよ」「相談したいから今度そっち行くわ」と何だか立場が逆転してきてしまっている。調子乗ってすみません。でも本当なんです…
僕はもう、新規を何件も開拓したし、もうシャカリキにやりたくないんだけど…と思っているのだが、そういう波動が余裕がある風に見えるのか、ますますお客様を惹きつけてしまっているようだ。
だがこの塩対応が許されるのは、これまでの積み上げのおかげだなと思うのだ。
積み上げが効く営業を
僕は以前、建設業の営業職をしていた。まあ建設業も工事現場のケーススタディがあるから、やや積み上げが効きやすい業界ではあるのだが、化学は積み上げがすごく効く。
どんな業界の営業職にも積み上げは確かにあるのだが、割とすぐに極まってしまう(カンストしてしまう)業界もある。そういう営業職は、営業マン同士の競争も熾烈だ。
だが、化学は極めようとしたら…大変、奥深い。一定のレベルになるのも数年を要する。この業界で10年戦ったら、かなりの経験値を積み上げることができる。その経験値の高さは、そのまま参入障壁になる。ポッと出の新人に負けることはほぼない業界だ。
そもそも、化学という単語の時点で文系は敬遠するから競争率が低い。そして続けて勉強する人も少ないから、ライバルも減る。だからこんな適当にやっている僕ですら、ファンがどんどん増えているのだ。ただ気をつけなくてはいけないのは、僕が最初から勉強をしないタイプで、お客様の仲間になろうというスピリットがなかったら、今頃は苦労していたかと思う。
なので純粋に….頑張ってた5年前、25歳の僕グッジョブ!と30歳の僕は思うのだった。
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